Q.脳幹とは何ですか。その障害はどのようになりますか。
>脳幹は,視床と脊髄をつなぐ位置にあり中脳・橋・延髄の3つに分けることができます。
その間を上行性神経繊維と下行性神経繊維が走行していて,また多くの脳神経の核があります。
そして,障害された場合には,下行する錐体路の交叉レベルの違いから交代性麻痺が生じます
脳幹は,中脳・橋・延髄の3つに分けることができます。
視床と脊髄をつなぐ位置にあります。
その間を上行性神経繊維と下行性神経繊維が走行して,それぞれの部位に第3から第12脳神経(つまり第1脳神経=嗅神経と第2脳神経=視神経以外の脳神経)の核があります。
また交感神経,副交感神経の主要経路があります。
さらに,脳幹網様体が存在して意識水準を維持する役割をしています。
中脳では,錐体路が下行しています。
錐体路には2つの経路があります。
各脳神経核に終わる経路である皮質球路と,脊髄まで下行する経路である皮質脊髄路です。
皮質球路は脳幹の各レベルで交叉して対側の脳神経運動核で終わっています。
皮質脊髄路は延髄下端で交叉しています。
そのために,中脳レベルで錐体路が交叉しているレベルでの障害が起こると,上交代性運動麻痺と呼ばれるものが生じます。
つまり,中脳レベルで交叉する脳神経運動核は動眼神経と滑車神経です。
そのために,動眼神経,滑車神経そして上下肢の障害が左右異なって出現するのです。
橋(きょう)は中脳と延髄の間にあります。
脳神経核としては,三叉神経核,外転神経核,顔面神経核,前庭神経核・蝸牛神経核があります。
錐体路は橋の腹側をとおり,体知覚系は内側を上行しています。
橋でも中脳と同じように,脳神経の運動核へ錐体路の皮質球路が交叉しています。
そのために,様々な交代性運動麻痺が発生します。
延髄は,脳幹の最後尾で脊髄に連なります。
腹側で錐体路の皮質脊髄路が交叉しています。
そのための膨らみがありますが,それが下に向かうほどに狭小化して脊髄中心管となります。
脳神経核としては,舌下神経,副神経,迷走神経,舌咽神経の核があります。
また三叉神経脊髄路核(痛覚系)が脊髄へとつながっています。
なお,延髄の背面外側では別の核があり温痛覚以外の体知覚の大脳へと向かう求心路核となっています。
脳神経運動核は舌下神経と副神経核があるが,交代性麻痺として舌下神経と四肢麻痺との間で左右が異なる交代性麻痺が発生します。
錐体交叉で障害が起こると,上肢と下肢の運動麻痺が右と左に起こりますが,これを交叉性運動麻痺といいます。
さらに脳神経核としては,舌下,副,迷走,舌咽の運動機能に関する核があるために,これらが障害されると,呼吸,嚥下,発語,構語,嘔吐の機能が麻痺します。これを球麻痺といいます。)