Q.若年の男性独身会社員の死亡逸失利益の具体的な計算を教えて下さい。
若年とは,一般に30歳前後ということになります。
同じ不幸な出来事ですが,30歳未満であるか否かで逸失利益の差が生じることがあります。
1 30歳を超えている場合はどうですか。 (クリックすると回答)
具体的例1
(1)性別 男性
(2)職業 会社員
(3)死亡時年齢 35歳
(4)年収 450万円
(5)家族 独身
逸失利益の計算式は,
基礎収入×(1-生活費控除率)×(死亡時年齢から67歳までの労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数)です。
基礎収入は,死亡時の実収入の450万円となります。
35歳から67歳までの労働能力喪失期間は32年間になります。32年間のライプニッツ係数は15.8027です。
独身の男子であるために生活費控除率は,50%となります。
すると,死亡逸失利益は,
4,500,000円 × (1-0.5)×15.8027=35,556,075円
となります。
具体的例2
(1)性別 男性
(2)職業 会社員
(3)死亡時年齢 23歳
(4)年収 250万円
(5)家族 独身・高校卒
逸失利益の計算式は,
基礎収入×(1-生活費控除率)×(死亡時年齢から67歳までの労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数)です。
基礎収入については,後で申し上げます。
23歳から67歳までの労働能力喪失期間は44年間になります。44年間のライプニッツ係数は17.6628です。
独身の男子であるために生活費控除率は,50%となります。
基礎収入については,死亡当時23歳という若年者であったので,実収入ではなく全年齢平均賃金が得られた可能性があります。
ちなみに,男子高校卒全年齢平均賃金は4,540,800円(平成25年度)となります。
すると,計算式は,
4,540,800円 × (1-0.5)×17.6628=40,101,621円
となります。
なお,仮に高校卒ではなく大学卒であったとすると
男子大学卒全年齢平均賃金は6,405,900円(平成25年度)となります。
すると,計算式は,
6,405,900円 × (1-0.5)×17.6628=56,573,065円
となります。
ただし,実収入が年齢別の平均賃金額とかけ離れている,いわゆる乖離がある場合には,全年齢平均額そのものではなく,一定割合(6ないし7割等)を乗じたものとなる可能性がありますので,御注意下さい。