Q.女子高校生の死亡による逸失利益に関して,大学進学希望の場合には,その点を考慮されますか。
女子の大学進学も当たり前になっていることから,その点の立証は困難ではありません。
しかし,大学進学予定を立証したとしても,現状の男女別学歴別(大卒)賃金を基礎収入とする限りは,男女格差が生じることは否定できません。
1 大卒として計算するとどうなりますか。 (クリックすると回答)
逸失利益の計算式は,
基礎収入×(1-生活費控除率)×(死亡時年齢から67歳までの労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数)です。
基礎収入については,後で申し上げます。
18歳から67歳までの労働能力喪失期間は49年間になります。
49年間のライプニッツ係数は18.1687です。
しかし,大学進学希望であり18歳からの4年間は働くことはできないために4年間のライプニッツ係数3.5460を差し引く必要があります。
すると,この場合は,49年間のライプニッツ係数18.1687-4年間のライプニッツ係数3.5460となります。
独身の女子であるために生活費控除率は,30%となります。
基礎収入については,若年者であり,大学進学希望であったことから女子大学卒全年齢平均賃金となります。
ちなみに,女子大学卒全年齢平均賃金は4,572,300円(平成28年度)となります。
すると,計算式は,
4,572,300円 × (1-0.3)×(18.1687-3.5460)
= 46,801,560円
となります。
2 男女同一賃金で計算するとどうなりますか。 (クリックすると回答)
ちなみに,男性全年齢大学卒では,6,626,100円です(平成28年度)。
現時点でも,男女格差があると言うことです。
仮に,この賃金を基礎収入とした場合に,東京地裁をはじめとした多くの裁判所では,男女間の調整を生活控除率で行っています。
つまり,通常女性は30%であるところ45%としているのです。
すると,
6,626,100円×(1-0.45)×(18.1687-3.5460)
=53,290,310円
この方法ならば,格差を埋めることができると言えそうです。(反面で男女逆転の問題が生じることにはなります。)