Q.高次脳機能障害としての構成障害とは何ですか。
構成障害とは,細部を明確に知覚し,対象の構成部分の関係を把握して正しく合成することを必要とする組み合わせまたは構成の活動に関わる(高次脳機能)障害を言います。
要するに,部分が全体の中で,どうなっているのか。部分毎の位置づけが理解できなくなっている障害です。
従って,神経心理学的検査の結果として判断・評価が可能です。
しかし,半側空間無視あるいは全般的知能低下等が要因となることがあり,構成障害としての独立した判断が難しいとも言われています。
構成障害constructional
disabilityとは細部を明確に知覚し,対象の構成部分の関係を把握して正しく合成する活動の(高次脳機能)障害を言います。
要するに,部分と全体,部分と部分の構成(関係)の理解に関する障害です。
要素的な視覚障害や運動障害が原因ではなく,構成的な課題に現れる障害の総体といえます。
課題遂行における失敗や不正確さとして神経心理検査結果として表れてきます。
そして,そのことは,仕事や日常生活への支障として出てきます。
なお,かつては,構成失行と呼ばれましたが,失行の定義とは異なるために,今日では構成障害と表現されています。
具体的には,図形の模写,自発描画,マッチ棒による図形の構成,
例えば,コース立方体組み合わせテスト,WAIS-Ⅲ(ウェクスラーテスト)の積木問題,三次元の積木構成をはじめとした構成的課題が出来ない症状を言います。
このように,立体的な図形に障害が顕著に表れるとも言われています。
例えば,立方体の見取図の線分が上手く描けず崩れた形となる等です。
右半球損傷でも,左半球損傷でも起こり,後方病巣例に多いが前頭葉損傷でも見られるとされています。
大脳または基底核・視床の病巣であれば,どの部位でも起こる可能性があると言うことです。
構成障害を起こす要因としては,半側空間無視と知能低下が重要であるものの半側空間無視がない構成障害もあり,全体的な発現のメカニズムには解明すべき点が多いとされているようです。
(石合純夫著 「高次脳機能障害学」医歯薬出版(株)p150から153参照)
高次脳機能障害は,意思疎通能力・問題解決能力・作業負荷に対する持続力及び持久力・社会行動能力の4分野における6段階評価の総合で判断されます。
構成障害は,まずは,課題遂行の障害としてとらえられますから,問題解決能力・作業負荷に対する持続力及び持久力への困難さとして現れると考えられます。
さらに, 意思疎通能力や社会行動能力の低下あるいは支障という点でも大きいものがあると思われます。
従って,半側空間無視で説明が付かない,つまり半側空間無視がない構成障害においても,高次脳機能障害としての評価は軽度とは言えないと考えます。