Q.拡散テンソル(DTI)画像と外傷性による高次脳機能障害の関係はどうですか。
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拡散テンソル(DTI)画像はFA mapによりFA値を計測することによって,その低下が認められる部位を器質的な軸索損傷部位として評価することができます。
1 拡散テンソル(DTI)画像とFA map
拡散テンソル画像(DTI,diffusion tensor image)によって神経繊維の周囲に存在する水の異方性の強さを表すFA(fractional
anisotropy,この点についてはこちらへクリック(リンク))を画像化したFA mapを作成して,関心領域(=損傷を疑う領域)のFA値を計測することによって,その低下が認められる部位を器質的な軸索損傷部位として評価することができます。
2 びまん性脳外傷でのFA値低下が見られる(関心)領域
脳梁,脳弓,放線冠,半卵円中心,帯状回などで有意なFA値低下が見られるとされています。
☆帯状回,脳弓
大脳辺縁系とは大脳半球内側面の辺縁部の総称です。その中に,帯状回が含まれます。それ以外にも海馬等も含まれます。
☆☆脳梁
左右大脳半球を結合する白質を中心とする繊維です。
☆☆☆放線冠
内包を通り新皮質に向かって放射線状に広がる繊維です。
☆☆☆☆半卵円中心
大腿皮質の機能を充分に発揮するためには,情報を取り交わす繊維連絡網が完備されなければなりません。皮質下では多量の繊維群で構成された蛋白質(又は髄質)が存在します。脳梁の背面を通過する大脳半球を水平断面で見てみると,長楕円形,又は半卵円形の広い蛋白質部が現れます。これを半卵円中心という。ここでは交連繊維,連合繊維,脳幹での上行性繊維,また皮質では,脳幹,脊髄への投射繊維が錯綜して通ります。
3 関心領域を標的とした解析の弱点の克服
関心領域を標的とした解析の弱点は,その設定に恣意が入るのではないか,関心領域以外を評価できないと言うことです。
そのためのものがSPM(statistical
parametric
mapping)統計学的解析です。
当初は,健常者群と患者群との対比であったのが,個別的解析(FA-SPM)も可能となりました。FA-SPMについては→こちらとリンク(クリック)
(篠田淳医師 木沢記念病院・中部療護センター 作成論文より)