Q.チネル(ティネル,Tinel)徴候と骨折後の神経麻痺の関係は,ありますか。
知覚神経損傷部の高位診断と神経再生が順調に末梢に伸展しているかを調べるものです。
叩打して,該当する神経の支配領野に限局して電撃性放散痛が生じるものがチネル徴候です。
チネル(ティネル,Tinel:以下チネルと呼びます。)徴候とは,
損傷神経幹を叩打した場合に,その神経の支配領野に限局して,ぴりぴり感に似た電撃性放散痛が生じるものをいいます。
2 チネル徴候を調べる目的は,何ですか。 (クリックすると回答)
知覚神経損傷部の高位診断と神経再生が順調に末梢に伸展しているかを調べます。
つまり,チネル徴候が一カ所にとどまっている場合には,再生した軸索は障害部位を通過することができず神経腫を形成していることを示して自然再生は起こりえないからです。
一方で,経過とともに末梢に移動する場合には,再生が順調に末梢に向けて進行していることを示しています。その再生速度は1日1~2㎜と言われています。
なお,チネル徴候は,受傷後4ないし6週間は出現しないことがあるとされています。
また,知覚繊維の再生状況を見るものですが,チネル徴候が順調に末梢に伸びていれば多くの場合には運動神経線維も順調に伸びていると考えられることが多いものの,必ずしも常にそうであるとも言い切れないとされています。
☆神経腫:外傷又は外科侵襲に対する反応として生じる末梢神経の増殖です。
臨床的には小型の結節で痛みを伴います。
3 チネル徴候と骨折後の神経麻痺の関係はどうですか。 (クリックすると回答)
骨折による神経麻痺はいずれの骨折でも生じうるものですが,特に上腕骨骨折による橈骨神経麻痺,上腕骨顆上骨折による橈骨,正中,尺骨神経麻痺が頻度が高いとされています。
保存的治療でほとんど麻痺なく回復しますが,チネル徴候の推移を3ヶ月診て,回復徴候がなければ神経展開を行うとされています。