Q.関節の機能障害と拘縮・強直との関係はどうなりますか。
関節拘縮は,関節外にある軟部組織が繊維化したり癒着したことを原因として起こります。
癒合不全など骨折との関連があります。
関節拘縮による可動域制限は,後遺障害に該当します。
交通事故による上肢・下肢等の運動制限,つまり,可動域制限が機能障害として自賠責などで認められるためには,可動域の減少があるだけでは足りず,その制限の原因となる器質的損傷が必要です。
関節部分の骨折後の癒合不全,そして関節周辺組織の変性による関節拘縮が必要です。さらに神経の損傷も含まれます。
関節外にある軟部組織(関節包,靱帯です。これらはコラーゲン繊維束からできています)が繊維化したり癒着したことを原因として起こります。
あるいは,長期間のギプス包帯固定も,関節包と靱帯の伸張性の低下をもたらすとされています。
さらに,フォルクマン拘縮,コンパートメント症候群といった阻血性拘縮や,心筋と屈筋の筋力不均衡をもたらす痙性麻痺や末梢神経麻痺によってももたらされます。
本来は,関節外の軟部組織が原因であるものが関節拘縮,関節内部に原因がある関節性のものが関節強直とされていました。
しかし,我が国では慣例上,運動制限の程度で両者を区分しており,完全に関節可動域が消失したもののみを関節強直と呼んでおります。
骨折後の癒合不全で関節拘縮が生じうることは述べたとおりですが,関節周囲の骨折や関節内骨折により,軟部組織が挫滅して筋肉の瘢痕が生じると拘縮の程度も著しくなります。
可動域2分の1以下=一関節著しい機能障害 → 10級
可動域4分の3以下 =一関節機能障害 → 12級