Q.変形性股関節症は,事故との因果関係を認められますか。
A.
元々の加齢性変化に軽度脱臼(亜脱臼)を生じさせる程度の外力が作用して症状が発症したり増悪することがあります。
その症状は,疼痛のみならず可動域制限や異常歩行などの重症化をすることもあります。
事故との因果関係は認められるものの素因減額される可能性もあると考えられます。
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1 外傷と変形性関節症との関係はありますか。(クリックすると回答)
変形性関節症は,関節軟骨の変性や摩耗によって関節が破壊されて,これに反応して骨増殖(骨硬化,骨棘)が生じることを特徴とする疾患です。
原因が明らかではない一次性股関節症に対して,何らかの疾患に続発する二次性股関節症があります。
事故後の股関節症とは二次性股関節症です。
2 変形性股関節症の臨床症状はどうですか。(クリックすると回答)
(1)疼痛
股関節痛を主としますが,大腿部痛,殿部痛,背部痛もあります。
(2)可動域制限
初期はそれほどではなくとも進行すると,内旋,外転,屈曲,伸展等の制限が出現して進行していきます。
(3)異常歩行
疼痛,脚短縮,筋力低下によりさまざまなタイプの異常歩行が出現するとされています。
3 事故との因果関係は,認められますか。(クリックすると回答)
既に生じていた変形性股関節症に事故による衝撃が加わったことによって症状が発現したものであるから,事故による外傷や器質的損傷等がみられなくとも,相当因果関係を認めうると言うべきです(名古屋地裁 平成21年3月18日判決)。
但し,素因減額は免れることはできないと考えます。
上記判決は30%でした。