Q.前夫が交通事故で死亡し前夫が加入していた生命保険契約の保険金受取人に前妻がなっている場合にはどうなりますか。---交通事故賠償は,むさしの森法律事務所
前夫が交通事故で死亡し前夫が加入していた生命保険契約の保険金受取人が「妻 ○山△子」となっている場合に,離婚後の前妻は保険金を受け取ることができるか。
離婚して,妻ではなくなり,また,復氏して氏が変更になっても,離婚後の前妻が保険金を受け取ることができる可能性があると考えます。
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1 保険金受取人指定の「妻 何某」と言う記載はどう解釈されますか。 (クリックすると回答)
受取人指定の方法は,具体的な氏名を指定する方法もありますが,「相続人」「妻」「配偶者」とだけする場合もあります。
さらには,「妻 何某」,本問では「妻 ○山△子」と氏名の他にも記載がある場合があり,この場合にどう解釈するのか問題となります。
学説としては,
(1)妻と言うことに重点を置いて,氏名には意味が無いとする説
(2)妻と氏名と両方に意味があるとして,その人が妻である限りにおいて受取人として指定するという説
(3)氏名に重点を置いて,具体的に存在する人物を指定したとして,妻の表示には法的意味は無いとする説
このように,解釈は大きく分かれており,どれが有力とも言いがたい状況のようです。
2 判決の流れからはどう考えるべきですか。(クリックすると回答)
最高裁は「妻」という表示は,氏名による保険金受取人の指定におけるその受取人の特定を補助する意味を有するに過ぎないとしております(最高裁昭和58年9月8日判決)。
そうすると,その判決の趣旨からすると,氏名が記載されていることから「妻」という記載の意味は特段に無いことになると考えられます。
特に,平成22年4月1日施行の保険法は,従来の商法を改正して明文で保険金受取人の変更を認めています。
第43条1項で「保険契約者は、保険事故が発生するまでは、保険金受取人の変更をすることができる。」としているので,離婚に際して変更もできるので,具体的な氏名に重点を置く最高裁の判決は,今まで以上に支持されると言えます。
すると,離婚して妻でなくなり,また,復氏して氏が変わったとしても受取人は,そのままであると解釈すべきことになります。
離婚後の妻は保険金を受け取る可能性が高いと考えます。
ただし,前夫が再婚して既に後妻がいたり,その間に子がある場合に,将来的に判決の流れあるいはその射程範囲が変更されていく可能性もあり得るので,結論は可能性の範囲であり,断定はできないと言うことになってしまいます。。
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