Q.脊柱の変形障害で8級認定というのは、どのような場合でしょうか。
「脊柱に中程度の変形を残すもの」が8級相当と評価されています。
むさしの森法律事務所では、後遺障害被害者請求により自賠責8級相当の認定を得て逸失利益を含めた損害賠償を認めさせた解決事例があります。
1 脊柱の障害とは
変形障害と、運動障害(可動域制限)とがあります。
2 脊柱の変形障害とは
いわゆる赤い本等に掲載されている自賠責後遺障害等級表では、変形障害について「脊柱に著しい変形を残すもの」(6級5号)と「脊柱に変形を残すもの」(11級7号)が書かれています。
これだけでは、2段階に思われますが、労災保険基準の平成16年改正によって両者の中間である8級を新設して(注:正確には「8級に準ずる」とされております。)3段階となりました。
自賠責保険も、それを受けて「脊柱に中程度の変形を残すもの」として8級相当が等級表にはなくても認定されることになりました。
3 脊柱の変形障害の3段階の認定方法についてはどうか。
3段階とは、次のものです。
「脊柱に著しい変形を残すもの」(6級5号)
「脊柱に中程度の変形を残すもの」(8級相当)
「脊柱に変形を残すもの」(11級7号)
脊柱の変形障害については、変形による後彎と側彎の程度によって6級、8級が決められ、それに達しない変形で一定の要件を満たしているものが11級とされています。
4 脊柱の変形の8級相当とはどの程度か。
変形による後彎と側彎の程度によって6級、8級が決められますが、後彎による場合が多いと思われます。
そして、後彎の程度は椎体の中で椎体高が減少した個数及び減少の程度により決まります。
1個の椎体について椎体高が減少して、その程度が同等であっても、側彎の程度により6級か8級が分かれています。
つまり、後彎の程度は要件に達しているが、側彎が要件に達していないものが8級相当であると言えます。(側彎は、コブ方による測定で50度以上が要件となっています。)
なお、前提としてエックス線写真等で圧迫骨折等(等とは脱臼を含むということとされています。)が、確認できることが必要です。
5 解決事例について
第1腰椎圧迫骨折により、椎体高の減少が生じた事例でした。
8級相当の認定を受け、賠償請求を行いました。
相手方は、労働能力喪失はない、あるいは、極めて少ないとして逸失利益を争いました。
しかし、脊柱変形障害において11級レベルならまだしも8級レベルでの逸失利益を否定されることは、まず、ないと考えます。
本件の解決事例においても、裁判所において逸失利益が請求のとおり認められました。