Q.路側帯上での自転車と歩行者の交通事故における過失については,どのように考えるべきでしょうか。---自転車事故も交通事故被害救済専門の,むさしの森法律事務所

[歩行者,歩道,自転車,路側帯,過失相殺]

A.
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道路交通法の規定からは,歩行者と自転車とも路側帯の通行を認めております。
その点から,自転車の通行を歩行者も予見すべきかどうかで,過失相殺率を歩行者ゼロを前提とするか,
あるいは若干でも過失があることを前提にするか,で考え方が分かれています。
特に,その違いは,歩行者が路側帯に進入した形態に関して出てくると思われます。

1 路側帯の道交法上の規制はどうでしょうか。(クリックすると回答)

歩道と車道の区別がない道路において,歩行者は,路側帯を通行しなければなりません,
他方,自転車は,歩行者の通行を妨げる場合を除いて路側帯を通行することができます。
つまり,道交法上では,路側帯に歩行者と自転車が混在することを前提としています。

2 基本過失相殺率についてはどうでしょうか。(クリックすると回答)

日弁連の試案が公表されていますが,裁判所における判決例において方向性が固まっている段階ではありません。
すなわち,歩行者も路側帯を通行して来る自転車の存在を前提に通行すべきだという考え方と,あくまでも歩行者優先を貫こうという考え方です。
前者によれば,路側帯上の事故については,歩道上の事故との中間的な過失相殺率となる傾向にあります。
後者によれば,基本過失相殺率は歩行者ゼロとなります。
要は,道交法17条の2第2項をどのように解釈するかの違いです。
前者は,この規定により,路側帯通行において歩行者から見て自転車が混在する通行を予測して,通行しなければならないという解釈を導きます。
しかし,裁判所の中でも,前者の考え方はどちらかというと少数に思われます。
なお,両者の違いが出てくるのは,歩行者と自転車の対向の事故,歩行者が路外から路側帯に進入した際の自転車との事故について過失相殺をすることを原則とするかどうかと言う点です。
(軽車両の路側帯通行)
第十七条の二 軽車両は、前条第一項の規定にかかわらず、著しく歩行者の通行を妨げることとなる場合を除き、
道路の左側部分に設けられた路側帯(軽車両の通行を禁止することを表示する道路標示によつて区画されたものを除く。)を通行することができる。2  前項の場合において、軽車両は、歩行者の通行を妨げないような速度と方法で進行しなければならない。

3 では,どのように考えるべきでしょうか。(クリックすると回答)

路側帯の事故では,対向の場合においては,よほどのふらつきが歩行者に無ければ過失相殺をすべきではないと考えます。
また,ふらつきの原因が高齢・病気等であるか否かで異なってくると思われます。問題となるのは,歩行者の路側帯への進入です。
見通しの良さ,路側帯の幅等から総合的に判断すると,抽象的には言われそうです。
しかし,歩行者からすると,自動車に加えて路側帯を通行してくる自転車の存在まで予見する義務を原則化するのは酷に思われます。
原則は,過失相殺率は歩行者にゼロとして,状況に応じて若干修正をすると言うのが妥当と考えます。

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