Q.頭部外傷はないが,長期入院中に認知症となった場合に高次脳機能障害として認定されますか。
A.
頭部外傷による脳損傷があれば,通常の高次脳機能障害としての障害認定となります。
問題は,頭部外傷がなく,例えば骨折によって長期入院をして,認知症を発症した場合です。
全く事故前には認知症の症状がなかったような場合と,長期入院後に認知症の程度が増悪したような場合とがあり得ます。
者の場合には,長期入院により認知症を発症したとしても,頭部外傷がないことから,通常は因果関係は否定されると考えられます。
例えば,東京地裁 平成21年12月25日判決は,事故当時85歳の被害者には「右前腕打撲,右大腿打撲であり,頭部打撲がないことから高次脳機能障害(いわゆる認知症)が本件事故により発症したとは認められない。」と因果関係を否定しています。
この判決例では,さらに認知症の症状とされるもの(失禁)が事故から余りにも離れすぎている(約7ヶ月後)ということも理由とされています。
しかし,後者の既存症の程度が増悪したような場合には,長期入院により影響があることは通常の予見の範囲と考えられ,因果関係が認められると考えられます。
その場合には,高次脳機能障害として後遺障害の認定を受けると考えられます。
ただし,事故前にあった認知症が素因となっていることから,相当の素因減額をされるものと思われます。
例えば,東京地裁 平成21年12月25日判決は,事故当時85歳の被害者には「右前腕打撲,右大腿打撲であり,頭部打撲がないことから高次脳機能障害(いわゆる認知症)が本件事故により発症したとは認められない。」と因果関係を否定しています。
この判決例では,さらに認知症の症状とされるもの(失禁)が事故から余りにも離れすぎている(約7ヶ月後)ということも理由とされています。
しかし,後者の既存症の程度が増悪したような場合には,長期入院により影響があることは通常の予見の範囲と考えられ,因果関係が認められると考えられます。
その場合には,高次脳機能障害として後遺障害の認定を受けると考えられます。
ただし,事故前にあった認知症が素因となっていることから,相当の素因減額をされるものと思われます。