Q.外傷性胸部損傷とは何でしょうか。心肺機能への影響はどうですか。---交通事故賠償は,むさしの森法律事務所

[大動脈,気腫,縦隔,肋骨,胸壁,胸部損傷,骨折]

A.

非開放性鈍的損傷と開放性鋭的損傷と大別されます。
交通事故によるものは,非開放性鈍的損傷に属します。
そして,非開放性鈍的損傷は非穿通性鈍的損傷ともいい,胸壁損傷と縦隔部損傷があります。

1 胸壁損傷にはどのようなものがありますか(クリックすると回答)

肋骨骨折と,それを病因とする動揺胸郭(=胸郭動揺)があります。
動揺胸郭(=胸郭動揺)とは,3本以上の隣接する肋骨2カ所以上にわたって骨折した場合に生ずる外傷性胸部損傷の一つで奇異呼吸と呼ばれる呼吸困難の症状です。
なお,詳細は次の記事をご覧下さい。
肋骨骨折による動揺胸郭(または,胸郭動揺)とは何でしょうか。---交通事故賠償は,むさしの森法律事務所(リンク)

2原因はどのようなものですか。(クリックすると回答)

(1)肋骨骨折にも1本の場合と複数(多発性)の場合があります。
(2)受傷部位で前方,側方,背側に分類されますが,通常は第5から第9肋骨の乳頭から腋窩(えきか:俗にいうわきのした)の間に多く見られます。
(3)上方肋骨骨折は,腕神経,鎖骨下の動静脈損傷を伴いやすいとされています。
(4)下方肋骨骨折では,肝臓,脾臓,横隔膜の損傷を伴いやすいとされています。
(5)さらに重要なことは,胸腔内部の臓器の損傷で合併症として肺損傷と胸壁損傷を伴う血気胸が生じるリスクがあります。

3 縦隔部損傷にはどのようなものがありますか(クリックすると回答)

(1)縦隔:左右の肺ならびに胸膜腔を隔てた胸腔中央部です。
(2)縦隔部損傷には気管・気管支損傷,心・大血管損傷があります。
(3)縦隔部損傷は,まれです。
(4)縦隔部損傷となると,軽度の場合もありますが,手術を要する重症例もあり得ます。

4 気管・気管支損傷となるとどうなりますか(クリックすると回答)

縦隔気腫(=縦隔を縦走する空気層)が,ほぼ必然的に起こり,皮下気腫も生じてきます。

5 心・大血管損傷となるとどうなりますか(クリックすると回答)

心損傷は,血胸等でおこります。緊急手術の対象となる場合があります。大血管損傷は,大動脈損傷等でおこります。

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