Q.むち打ち(頚椎捻挫)で後遺障害(後遺症)14級となった場合の具体的金額のシミュレーションをして下さい。

[むち打ち,主婦,休業損害,慰謝料,自賠責基準,訴訟基準,賃金センサス,逸失利益,14級,14級9号]

A.

分かりやすく,会社員と主婦についてそれでは,シミュレーションをしてみます。
なお,いずれも過失相殺の場合を前提としております。また,治療費・通院交通費は除いて考えています。

①会社員の場合
年齢40歳
年収510万円(月収30万円,ボーナス年5ヶ月)
治療期間6ヶ月
治療実日数60日間
休業日数15日間

②主婦の場合
年齢35歳
年収96万円(パート兼業主婦)
治療期間6ヶ月
治療実日数60日間
休業日数15日間

1 ①会社員の場合(A)保険会社基準では(クリックすると回答)

①会社員の場合
年齢40歳
年収510万円(月収30万円,ボーナス年5ヶ月)
治療期間6ヶ月治療実日数60日間

休業日数15日間 あなたが,自分で交渉した場合としてお考え下さい。

1 通院慰謝料(傷害慰謝料とも言います。「障害」慰謝料ではありません。)
4200円×治療実日数60日間×2=50万4000円→約50万円とします。

2 休業損害日額(1日あたりの金額) 
事故前3ヶ月の月収30万円×3÷90日=1万円1万円×15日間=15万円
なお,ボーナス査定期間に休業が重なって減額されればその分は,休業損害として認めて支払ってくるものと考えられます。
3 後遺障害慰謝料
4 逸失利益
この2つは,併せて75万円と提示されることが,ままあり得ます。
この75万円の意味については,こちらへ 。→リンク(クリック)

しかし,もう一つのやり方で,それぞれ分けて金額を提示する可能性があります。
その場合は,
3 後遺障害慰謝料
32万円~60万円程度 会社(共済)あるいは,その担当者によって違います。
幅があります。あるいは,あなたという人柄を見ているかもしれません。

4 逸失利益
510万円×5%(14級の労働能力喪失率)×2.7232(3年間のライプニッツ係数) =約69万円
むち打ちは,14級9号(神経症状)が,後遺障害としては定番です。その喪失率は,5%であり,喪失期間は67歳どころか,3年間しか認めてくれません。
そして,そのまま3年をかけるのではなく,ライプニッツ係数をかけます。3年先の分を今もらうので,中間利息を差し引くのです。

5 想定される合計額(幅があります。) 
◎最低ライン(過失相殺がないとして) 50万円+15万円+75万円=140万円
▽最高ライン(想定できる範囲で) 50万円+15万円+60万+69万円=194万円
これに慰謝料を上乗せさせたとしても200万円を若干超えるくらいでしょうか。また,ボーナス分については,会社等により異なってきますので省きました。

2 ①会社員の場合(B)弁護士基準では(クリックすると回答)

①会社員の場合
年齢40歳
年収510万円(月収30万円,ボーナス年5ヶ月)
治療期間6ヶ月
治療実日数60日間
休業日数15日間

あなたが,私どもにご依頼をした場合としてお考え下さい。

1 通院慰謝料
通院期間について4ヶ月から6ヶ月と見るかは,通院状況により異なります。
従って,訴訟基準別表Ⅱ(いわゆる赤い本)によれば67万円から89万円通院期間4ヶ月から6ヶ月に対応する金額です。

2休業損害
これは,保険会社基準と同じです。

3 後遺障害慰謝料
ここは,違いの1つです。訴訟基準は,110万円です。
弁護士に依頼をすれば,ほぼこの金額となります。訴訟をせずとも,この基準にすることは十分に可能です。

4逸失利益
510万円×5%(14級の労働能力喪失率)×4.3295(5年間のライプニッツ係数) =約110万円
喪失期間を67歳までとすることは,さすがにできませんが,訴訟でも定着している5年間までとすることは可能です。
訴訟をせずとも,この期間にすることは十分に可能です。

5 想定される合計額(幅があります。) 
◎最低ライン67万円+15万円+110万円+110万円=302万円
▽最高ライン(想定できる範囲で) 89万円+15万円+110万円+110万円=324万円
(なお,ボーナス分については,会社等により異なってきますので省きました。)

この様に,300万円を超えることになります。おおざっぱに言えば,一人で交渉する場合に比べれば率にして5割増,金額にして100万円以上は増加すると言えます。

3 ②主婦の場合(A)保険会社基準では(クリックすると回答)

②主婦の場合
年齢35歳
年収96万円(パート兼業主婦)
治療期間6ヶ月
治療実日数60日間
休業日数15日間

あなたが,自分で交渉した場合としてお考え下さい。

1 通院慰謝料(傷害慰謝料とも言います。「障害」慰謝料ではありません。)
4200円×治療実日数60日間×2=50万4000円→約50万円とします。

2 休業損害
日額(1日あたりの金額) 5700円(いわゆる自賠責基準) 
なお,主婦の休業損害については こちらへ→リンク (クリック)
5700円×30から60日間=17万1000円から34万2000円 →これも17万から34万円とします。
基本的に,通院実日数に日額5700円をかけたものですが,治療期間が6ヶ月となると,通院も飛び飛びになっていることから,
また,パートの仕事にも復帰していることから,通院実日数全部について認めることは期待できません。

3 後遺障害慰謝料
4 逸失利益こ
の2つは,併せて75万円と提示されることが,ままあり得ます。会社員と同じです。この75万円の意味については,こちらへ 。→リンク(クリック)

しかし,もう一つのやり方で,それぞれ分けて金額を提示する可能性があります。
その場合は,
3 後遺障害慰謝料
32万円~60万円程度 
会社(共済)あるいは,その担当者によって違います。幅があります。
あるいは,あなたという人柄を見ているかもしれません。
4 逸失利益
30万5500円×12ヶ月×5%(14級の労働能力喪失率)×2.7232(3年間のライプニッツ係数) =約50万円
30万5500円は自賠責基準での年齢別平均給与額です。
「良心的な」賠償担当者であれば,これを用いて後遺障害部分が合計で75万円を超えるようにする可能性もゼロではありません。
むち打ちは,14級9号(神経症状)が,後遺障害としては定番です。その喪失率は,5%であり,喪失期間は67歳どころか,3年間しか認めてくれません。
そして,そのまま3年をかけるのではなく,ライプニッツ係数をかけます。3年先の分を今もらうので,中間利息を差し引くのです。この点は,会社員と同じです。

5 想定される合計額(幅があります。) 
◎最低ライン50万円+17万円+75万円=142万円
▽最高ライン(想定できる範囲で) 50万円+34万円+60万+50万円=194万円
これに慰謝料を上乗せさせたとしても200万円を若干超えるくらいでしょうか。
しかし,最高ラインについては少し無理があります。150万円超というところだと思います。

4 ②主婦の場合(B)弁護士基準では(クリックすると回答)

②主婦の場合
年齢35歳
年収96万円(パート兼業主婦)
治療期間6ヶ月
治療実日数60日間
休業日数15日間

あなたが,私どもにご依頼をした場合としてお考え下さい。

1 通院慰謝料
通院期間について4ヶ月から6ヶ月と見るかは,通院状況により異なります。
従って,訴訟基準別表Ⅱ(いわゆる赤い本)によれば67万円から89万円 通院期間4ヶ月から6ヶ月に対応する金額です。

2 休業損害
この点は,会社員と違って,保険会社基準と相違点が出てきます。
基礎収入として自賠責の日額5700円ではなく,賃金センサスを用います。
382万5000円,これは,平成23年度の女性全労働者学歴計年齢別の平均賃金です。
問題は,パート及び家事労働の支障が,どのくらいの期間あったかどうかです。
およその目安として,14級が認定された場合で6ヶ月以上通院していたとなると,最大でも2ヶ月くらいと言えそうです。
しかし,それについては,なかなか難しいところもありますが,手堅いところでは1ヶ月でしょうか。
すると,382万5000円÷365日間×30日間(=1ヶ月)=約30万円

3 後遺障害慰謝料
ここは,違いの1つです。訴訟基準は,110万円です。弁護士に依頼をすれば,ほぼこの金額となります。
訴訟をせずとも,この基準にすることは十分に可能です。

4 逸失利益
382万5000円×5%(14級の労働能力喪失率)×4.3295(5年間のライプニッツ係数) =約82万円
ここでも,基礎収入を女性全労働者学歴計年齢別の平均賃金とすることが,裁判でも定着していますから,これを認めさせることができます。
喪失期間を67歳までとすることは,さすがにできませんが,訴訟でも定着している5年間までとすることは可能です。
訴訟をせずとも,この基準にすることは十分に可能です。

5 想定される合計額(幅があります。) 
◎最低ライン67万円+30万円+110万円+82万円=289万円
▽最高ライン(想定できる範囲で) 89万円+30万円+110万円+82万円=311万円
この様に,300万円を超える可能性もあります。
おおざっぱに言えば,一人で交渉する場合に比べれば率にして5割から10割増,金額にして100万円以上(極端には150万円)は増加する可能性もあると言えます。

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