Q.肩鎖関節損傷は,後遺症(後遺障害)となりますか。
A.
肩鎖関節脱臼によって肩鎖靱帯と烏口(鎖骨)靱帯が共に損傷することがあります。
その場合に,迅速適切な治療がされたならば治癒します。
しかし,何らかの事情で鎖骨が上に跳ね上がった状態で症状固定した場合には,鎖骨変形として12級5号に該当する可能性があります。
肩の関節として,肩鎖関節があります。肩鎖関節は肩峰と鎖骨の外側を連結しています。
その連結について肩鎖靱帯と烏口(鎖骨)靱帯が関わっており,烏口(鎖骨)靱帯は,肩鎖関節の安定性を保つのに重要な役割を果たしています。
なお,肩鎖関節の働きとしては,上肢の挙上(注:腕を上にまっすぐ挙げる)に際して肩甲骨と鎖骨が同期して行われるようにするものです。
通常は,肩鎖関節脱臼によって肩鎖靱帯が断裂して烏口(鎖骨)靱帯に完全あるいは部分的に断裂するとされています。
その点で,肩鎖関節脱臼としては重症です。
手術によっても,肩鎖関節部で鎖骨が上方転位(注:上に跳ね上がった)状態のままであれば「鎖骨の著しい変形」(12級5号)となる可能性があります。