Q.交差性(交叉性)片麻痺とは何ですか。また,交代性片麻痺とは何ですか。
A.
交差性片麻痺(こうさせいへんまひ,交叉の文字を当てることもあるようです。)とは,一側の上肢麻痺と他側の下肢麻痺がある片麻痺を言います。
例えば右上肢麻痺と左下肢麻痺という様にです。
本来の片麻痺は,右半身あるいは左半身と左右いずれかの一側性上下肢の麻痺ですので,交差性片麻痺は正確な意味での片麻痺ではないとされています。
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交差性片麻痺は,延髄椎体交叉部で上肢を支配している皮質脊髄路と下肢を支配している皮質脊髄路のレベルにずれがあるからです。
すなわち,椎体交叉部において皮質脊髄路の上肢へのニューロンは上部,下肢へのニューロンは,下部とずれているのです。そのため,一側の上肢麻痺と他側の下肢麻痺とを生じるのです。
交差性片麻痺は,延髄障害(リンク)として起こるとされています。
これに対して,本来の片麻痺の最も多い原因は内包付近の脳血管障害によるものです。
通常であれば,病変と反対側の片麻痺となります。
ところが,中脳・橋・延髄の半側病変では同側の脳神経麻痺と反対側の片麻痺となるため,交代性片麻痺と呼びます。