Q.眼の調節機能障害でいう近点と遠点とは,どのようなことですか。
近くのものが見えにくくなったことを眼の調整機能障害と言います。
交通事故外傷での後遺障害に該当することがあります。
その場合に近点,遠点という言葉があります。
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両眼の場合は11級1号,1眼の場合には12級1号となっています。その要件としては,著しい調節機能障害とされています。
そして,著しいとは調節機能が健常な側(健眼)の1/2以下となったことを言い,両眼の場合には年齢平均から判断されます。55歳以上で健眼がない場合には通常は対象となりません。
ここまでは,何となく分かります。これ以上の詳しい説明はこちらへ(クリック)次の2からは調節機能障害にまつわる言葉を少し整理するものです。
眼の調節機能とは近くのものをはっきり見るためのものです。
それはどうするかと言えば,水晶体の屈折力を増すことで行っています。
水晶体というのは,白内障で人工レンズに取り替える部分ですね。
人間の水晶体は周囲筋の力で膨らませることができるので,調節が可能となっているのです。
調節機能の尺度として調節力,調節域という言い方があります。
眼科の本では,遠点と近点の範囲を調整域といいます。そして,遠点と近点の距離をレンズの度(D)で表したものを調整力と言います。
遠点と近点については医学的あるいは光学的(?)に定義がされています。
しかし,賠償で考える場合には意味が分かりませんし,重要な意味があるとも思いません。分かりにくいのは,抽象的過ぎるからです。
イメージしやすいのは距離です。しかも検査方法から考えた方が分かりやすいです。
近点距離というのは,文字を眼に近づけていって,それがぼやけた時の眼までの距離です。
遠点距離は,そのぼやけたことを矯正したときの距離と言うことでした。つまり,凸レンズで矯正してぼやけなくなる距離です。
理屈では,遠点と近点の距離は普通に理解できる㎝で表して調整力も○○㎝と理解できる数字になるはずです。
しかし,実際には完全な遠点距離を得ることができる焦点とすることができます。つまり完全矯正ができるので,その屈折力(度数)つまりレンズを用いることで調整力を測定するのです。
だから,調整力をいう場合には度数で説明しているのです。ちなみに,完全矯正を要する屈折力の逆数が遠点距離です。
そして,完全矯正を要する屈折力の単位がジオプトリー(D)ということです。
5 どうして50歳代後半からは調節機能障害が認められにくいか(クリックすると回答)
もうお分かりの通り,近くのものが見えにくいことを調整障害と言います。
これは,老眼の状態に似ていますね。調整障害というのは要するに水晶体の弾力性が障害されていることです。
それは,老化によっても生じます。だからなのです。