Q.股関節脱臼となるとどうなりますか。後遺障害(後遺症)はどうですか。
A.
股関節脱臼で後遺障害が残る場合には12級が多いとえいます。
さらに,人工骨頭置換術を行った場合には多くは10級,まれに8級といえます。
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股関節は,骨盤の寛骨臼が大腿骨を包み込むような構造をしています。
脱臼とは,外力により正常運動範囲以上の関節運動が強制され,関節を補強している靱帯や関節包などの支持組織が断裂破壊され,関節面相互の正常な位置関係が崩れてしまった状態を言います。
この脱臼に寛骨臼あるいは大腿骨骨頭部のいずれか,あるいは両方の骨折が伴う場合を脱臼骨折と言います。
2 股関節後方脱臼の分類はどうですか。(クリックすると回答)
骨折を伴うかどうかで分類し,さらに,大腿骨(骨頭あるいは頸部)と骨盤(寛骨臼)のいずれの骨折であるかで更に分類されます。
交通事故で問題となるのは,大腿骨骨頭壊死を伴う場合です。
3 股関節後方脱臼の治療はどのようなものですか。(クリックすると回答)
骨頭壊死を防ぐために,なるべく早く,遅くとも24時間以内に整復をしなければならないとされています。まず,全身麻酔下で徒手整復を試みるとされています。整復後は2から3週間の牽引を行います。
観血的治療を行うのは,徒手整復が不成功の場合や,臼蓋縁の骨片が大きく関節の不安定性あるいは不適合性が残る場合,あるいは骨頭骨折がある場合とされています。
大腿骨頭壊死症の発生には,受傷時の損傷程度,整復までの時間や整復操作が関係するとされています。受傷してから4週間の時点でMRIでの異常がなければ,その発症の危険性は一応はないとされているようです。
4 股関節脱臼では後遺障害(後遺症)は残りますか。(クリックすると回答)
適切な時間内に,適切な治療が行われていた場合には,多くは後遺障害を残すことなく治癒していると思われます。
しかし,中には他の部位の受傷との関連もありますが,骨頭壊死を発症してしまうこともあります。
後遺障害については,骨頭壊死を発生したかどうかにより分類されます。
(1)骨頭壊死を発症しなかったもの
多くは,12級7号(機能障害=可動域制限)あるいは12級13号(頑固な神経症状) 場合によると,14級9号(神経症状)です。
(2)骨頭壊死を発症したもの
人工骨頭置換術をすることになり,可動域が2分の1以下になるかどうかにより8級か,10級に分かれます。