Q.カウザルギー,RSD,CRPSの関係はどうなっていますか。
末梢神経損傷を伴うものがカウザルギー,伴わないものがRSDです。
RSDにおいて,交感神経に関与していない持続性疼痛においても広く呼ばれるようになり混迷をしていました。
その点から,再定義をした概念がCRPDです。
1 カウザルギーとは何ですか。
カウザルギー(causalgia)とは,末梢神経損傷後に,その神経の感覚神経支配領域を超えて起こる
強い疼痛を主症状として,血管運動障害や皮膚の栄養障害等の自律神経症状を伴う症候群を言います。
2 RSDとは何ですか。
RSDは,Rflex Sympathetic Dystrophyの頭三文字です。
日本名は反射交感神経性ジストロフィーです。
カウザルギーが末梢神経損傷後の症候群であるのに対して,
末梢神経損傷の有無にかかわらず,四肢遠位部の小さな外傷,骨折,小手術等をきっかけにしてカウザルギーと同様の症状を来す疾患を言います。
身体一部が損傷されると交感神経反射が生じて血管が収縮して出血を止めたり,腫脹を抑えようと働いていきます。
外傷の治癒と共に,その交感神経反射も通常であれば消失します。
しかし,外傷が治癒したのに関わらず,交感神経反射が亢進を続けて血管収縮をしたまま血流が悪くなり,そのために疼痛が発生するものがRSDです。
3 CRPDとは何ですか。
CRPS(Complex Regional Pain Syndrome)の頭四文字です。
タイプⅠとⅡに分けられて,タイプⅠがRSD,Ⅱがカウザルギーに対応しているとされています。
1994年,国際疼痛学会において再「定義」と言うことです。
これは,RSDが元来は交感神経が関与したジストロフィーを示す疾患という意味であったところ,外傷後の難治性疼痛症候群に対して広くRSDという名前が使用されるようになり,混迷をしたためです。
そこで,持続性疼痛のあるものを総合してCRPSとして,
神経損傷を伴うかどうかで
タイプⅠ(神経損傷がない=従来のRSD)
タイプⅡ(神経損傷がある=従来のカウザルギー)
に区分したものです。