Q.胎児の時点で事故に遭った場合に,出生後の後遺障害(後遺症)の逸失利益は認められますか。
A.
母胎が受傷して,出生後に一命を取り留めながら障害が残存した場合に,早産となり仮死状態で出生したことによると思われます。
この場合において,早産の原因に事故が寄与した点が争点となっているようです。
この点が,証明された場合には,後遺障害(後遺症)に対応する逸失利益が事故当時胎児であった被害者に認められる傾向にあります。
胎児の段階で母胎が受傷し,早産となった結果,障害をもって出生する可能性があります。その場合に,事故によるものであるかどうか,相当因果関係が問題となります。
以下の事実関係の証明を充たした場合に相当因果関係が肯定されると思われます。(名古屋高裁金沢支部平成17年5月30日判決)
①交通事故による胎児への直接的または母体障害を介した間接的障害
②重度の胎児仮死あるいは新生児仮死状態
③重度の低酸素虚血性脳症,広汎性脳障害,脳萎縮等の発症
④重度精神運動発達遅滞(痙性4肢麻痺)等の残存