Q.交通事故のスリップ痕(スキッド痕,スキッドマーク)等の痕跡からは事故原因との関係で何がわかりますか。

[ガウジ痕,スキッド痕,スキップ・スキッド痕,スリップ痕,タイヤ痕,ブレーキ痕]

A.

自動車事故では,よく道路面にスリップ痕(=スキッド痕)がつきます。
あるいは,衝突によって,痕跡も色々と残ります。それらが生成される状態によって異なり,それに応じて用語が異なっています。
この路面における痕跡が交通事故の原因調査において重要です。

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1 スキッド痕(スリップ痕)とは何ですか。
スリップ痕(スキッド痕)とは,路面とタイヤの間にすべりを生じ,しかも車輪がほとんど転動しないようなときに路面に印象されるタイヤ痕を言います。
なお,タイヤ痕というのは,タイヤによる痕跡全部をいいます。
スリップ痕(スキッド痕)は,次の3つに分類されます。

①狭い意味でのスリップ痕(スキッド痕)
車輪がほとんど転動しないようなときに路面に印象されるタイヤ痕ですが,通常は,連続性があります。
②スキップ・スリップ痕(スキッド痕)
途中で,途切れてスキップして連続性が無いものです。
③ヨーイング痕
車両が方向背を失ってタイヤが軸方向にすべりを生じて,しかも車輪が転動するときに路面に印象されるタイヤ痕です。
ヨーイングというのは,まっすぐ進んでいたものが途中で旋回するという意味合いです。


2 ①連続性のある通常のスリップ痕(スキッド痕)からは,何が分かりますか。
①衝突前のスキッド痕の開始点を観察することにより急制動開始地点が分かる。
また,スキッド痕の屈曲地点を観察することにより衝突地点を推定しうる。
②衝突前のスキッド痕の長さを測定することにより,急制動開始時の速度を推定しうる。
③衝突時の衝撃によるスキッド痕を観察することにより,衝突地点及び衝突直後の進行方向を推定しうる。


3 ②スキップ・スリップ痕(スキッド痕)からは,何が分かりますか。
①衝突前のスキップ・スキッド痕を観察することにより,スキッド痕と同様,車両の進行方向や速度,また衝突地点が推定可能となる。
②衝突前のスキップ・スキッド痕の全長を測定することにより,スキッド痕と同様に急制動開始時の速度を推定しうる。
③衝突前のスキップ・スキッド痕は進行方向にしたがって徐々に短くなっていくので,ひき逃げ事故の場合には,スキップの間隔を測定することにより車両の進行方向を推定しうる。


4 ③ヨーイング痕からは,何が分かりますか。
①ヨーイング痕の開始地点が,車両の横滑り開始値点である。
②衝突による衝撃で車両が転動している場合には,衝突によるヨーイング痕が路面に印象されるが,これにより衝突地点が推定できる。
③ヨーイング痕が,不規則となる地点は,事故再現の際の車両の動きを推定できる
④衝突後の急旋回で生じたヨーイング痕からは,車両の最終停止位置及び方向が分かる。

「自動車交通事故とその調査」社団法人交通工学研究会編 技術書院 p40から41

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