Q.事故と直接因果関係がない無免許運転等の違法行為はどのように過失において評価されますか。
A.
そのような場合には,以前は当然に修正要素として著しい過失あるいは重過失となるとされていました。
しかし,現在は,事故と相当因果関係がある場合に考慮すると発想が転換されています。
しかし,多くの事故態様において違法行為と事故との相当因果関係が推定されると考えられます。
無免許運転あるいは飲酒運転は許されるべきではないこと,当然であります。
しかし,過失割合(過失相殺率)を考えるときに,無関係で発生したような場合においても過失内容として考えるべきであるかと言うことです。
例えば,赤信号無視の車両に追突された被害車両の運転者が無免許であったり,飲酒運転であるような場合です。
この点で,従前は著しい過失あるいは重過失として修正要素とされていました(判例タイムス別冊16号)。
しかし,赤信号無視の車両に追突されたような場合においては,無免許で運転技量が乏しく未熟であったとか,飲酒のために正常な判断ができなかったことから,事故の原因に関与したとは言えません。
それらの事由は慰謝料額の際に考慮すればいいと考えられます。そこで,無免許運転等の違法行為についても,当然の修正要素とするのではなく,他の修正要素と同様に事故と相当因果関係がある場合に考慮すべきであり,ただ,事故態様によっては,それらの事故との相当因果関係が事実上推定されることが多いと考えると発想の転換がされました(判例タイムス別冊38号)。