Q.脳室拡大が,受傷後に認められなければ,高次脳機能障害との因果関係は否定されるのでしょうか。
A.
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びまん性軸索損傷における画像所見と意識障害(リンク)
びまん性脳挫傷の慢性期画像所見として脳室拡大は代表的所見の一つです。
外傷性脳損傷後に脳室拡大が認められたならば,前頭葉あるいは側頭葉が萎縮した証明となり得るために「高次脳機能障害が存在する」ということになるが,その逆として「脳室拡大がないので高次脳機能障害ではない」 ということは論理的には成り立たないと考えられます。
脳室拡大だけが唯一高次脳機能障害の証明となり得るという主張があるものの,臨床的にはその例外の症例が少なからず存在するとされているのです。
以上「脳神経外科学Ⅱ 太田富雄編 金芳堂 p1782」 より
「脳室拡大がないので高次脳機能障害ではない」は論理的には成り立たないということは,言い換えれば「脳室拡大の画像がなくても事故と高次脳機能障害との因果関係は認められ得る。」となります。
自賠責あるいは訴訟実務においても,同様に考えられます。
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びまん性軸索損傷における画像所見と意識障害(リンク)