Q.外傷性の頚動脈損傷とは何ですか。
頭部外傷では説明がつかない中枢神経症状を示す場合に頚部頚動脈損傷があります。
交通事故によるものが最も多く,症状が出現している場合には,死亡に至るリスクも高い重症とされています。
頭部外傷では説明がつかない中枢神経症状を示す場合に頚部頚動脈損傷があり得るようです。
頚部外表面の所見があるのは50%であるため,閉鎖性頚動脈損傷とも呼ばれています。
患者としても,頚部への損傷を自覚することは少ないとされています。
しかし,血腫が頚部に認められることがあるので,その場合には本症を疑うべきであるとされているようです。
「脳神経外科学Ⅱ 太田富雄編 金芳堂 p1731」
交通事故によるものが最も多いとされています。損傷のメカニズムは次の3つに大別されるようです。
(1)頚部への直接的な打撃による損傷
(2)頚部の過伸展によって頚動脈が伸張されて損傷
(3)外側への屈曲により,頚動脈が軸椎ないし環椎の外側部へ圧迫されて内膜が損傷等
「脳神経外科学Ⅱ 太田富雄編 金芳堂 p1731」
最も多いのは,血管の伸展で,内膜の断裂が血管腔の解離を引き起こし,血管狭窄,閉塞あるいは動脈瘤形成に至るものです。
狭窄が自然寛解するのは50%とされています。
「脳神経外科学Ⅱ 太田富雄編 金芳堂 p1731」
症状を呈する(症候性)は50%といわれています。
その中で,最も多いのは頭痛,頚部痛,ついで虚血性による症状で,意識障害よりも片麻痺,失語症状といった巣症状が先行するのが特徴です。
「脳神経外科学Ⅱ 太田富雄編 金芳堂 p1732」
症候性のものの死亡率は29~42%,中でも側副血行路が不十分であるものの40~90%が死亡する。とされています。
残る多くは何らかの虚血症状を残すとされております。
ただ,無症候性のものの予後はよいとされています。
「脳神経外科学Ⅱ 太田富雄編 金芳堂 p1733」