Q.f MRI(脳機能MRI)画像とはどのようなものですか。外傷性脳損傷の証明には役に立つのですか。

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A.

MRI脳機能画像(functional MRI,fMRI)とは特定の機能を遂行している脳の部位を画像化したものを言います。
つまり,MRIによる脳活動の画像化です。

1 どのような原理か (クリックすると回答)

MRI脳機能画像(functional MRI,fMRI)は,1991年に初めて報告されたものです。なお,以下fMRIと言います。

fMRIは,脳の活動とMRIの信号値(つまり,水素原子からの磁気共鳴信号)との間に相関関係があることを利用しています。

ある課題をこなして「考えている」時のMRIの信号値変化を手がかりに,その課題をこなしている部分の統計的な検出を行って,課題に対応する脳活動の場所を特定する目的で使われることが行われています。
そのことから,まさしく脳活動(あるいは脳機能)の画像化です。

☆MRI T2*(T2スター)強調画像法に,血流変化による信号変化を統計処理したマップを重ねて脳活動を画像化します。

2 事象関連fMRIとは (クリックすると回答)

fMRIは,放射性物質を使わない点で侵襲性のないことからSPECTよりも脳活動を調べる上で優れています。

さらに,空間分解能と時間分解能に優れているとされています。時間分解能とは,脳活動の開始から血流変化が最大となるまでの間約6秒間時間差があります。

この血流変化に伴う信号の時間変化(Δt)をヘモダイナミックス(hemodynamics)と言います。脳に対する瞬間的な刺激を事象と呼びますが,事象毎に常に一定のヘモダイナミックスが生じるとされているようです。
この複数の刺激に対するヘモダイナミックスは連続性がありますので,それらを分離して調べていくのが,事象関連fMRIということのようです。

事象関連→event-related

3 外傷性脳損傷等への利用は (クリックすると回答)

前頭葉の運動野,あるいは,言語中枢(ブローカー野),記憶や感情などのいわゆる高次脳機能といった複雑な活動部位の機能状態を血流の低下があるか否かによって,ある程度推定することができます。

しかし,個人差についてのデータ蓄積が十分ではないようです。また,脳活動も変化しやすいので,それに対応したfMRIのデータしか得られないのが実情だと思います。

「脳機能を科学的に見るという面ではよい方法であるが,現時点では微細な脳機能の低下に対してはまだ使える段階にはない。」
(平成23年3月4日自賠責保険における高次脳機能障害認定システムの充実について報告書 より)であると言えます。


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