Q.高次脳機能障害による後遺障害障害5級ですが,将来の介護費用を認められますか。
A.
高次脳機能障害での介護は身体介助もさることながら,危険行動あるいは不穏行動に対する監視や見守りが介護として評価されます。
すると,3級以下であっても,たとえ5級であっても高次脳機能障害の場合には介護費用が認められる可能性があります。
5級において,看視や見守りの必要性・程度に応じて日額2000円から3000円の範囲で認められる可能性があります。
毎日,継続的に介護が必要であるとは認められないが,ガスの消し忘れ等の「随時看視や声掛けが必要である」ならば介護費用日額2000円を認められると言えます(東京地裁平成16年9月22日判決)。
あるいは火の消し忘れに加えて,出先で居場所判らずパニック,暗証番号を忘れる等「看視・声掛け等外出時において絶えず付添介護が必要」な場合(大阪地裁平成20年5月29日判決)も同様といえます。br>
なお,一人暮らしが困難である場合に高次脳機能障害5級において2500円を認めた判決(大阪地裁平成11年1月25日)は, 「介護の程度を判断するのはきわめて困難であるが,医師の意見を参考にし,さらに,日常生活状況を併せて考えると,常時介護を100%とすると,50%の介護が必要である」としております。
一つの基準を示す例といえそうです。
そして,日額3000円を認めているのは,高次脳機能障害5級においても日常生活のあらゆる場面で常時介護とまではいかなくとも随時介護,つまり「看視及び声かけ」が必要とされる事案に対してと言えそうです(横浜地裁 平成15年7月31日判決)。