Q.股関節の中心性脱臼とは何ですか。後遺障害(後遺症)となりますか。
骨盤の寛骨臼を突き破って大腿骨骨折骨頭部が骨盤内に入ってしまう,寛骨臼の骨折と大腿骨の骨頭部の脱臼を伴うものです。
大腿骨骨頭部の骨折がなければ後遺障害(後遺症)なく,保存治療で治癒するとされています。
しかし,大腿骨骨頭部骨折により人工骨頭置換術を行った場合には,後遺障害に該当します。
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1 股関節というのは何ですか。
股関節は,大腿骨の骨頭部と骨盤の寛骨臼で構成しているものです。
イメージとしては寛骨に円状の穴が開いていてボール状の大腿骨頭が入っているものです。
その点から,寛骨臼は,まさにボール状の大腿骨頭を入れて支えておく台のようなものです。
2 骨盤の寛骨臼とは,何ですか。
骨盤の構造は,仙骨を後側の中心として仙腸関節を構成して,その両側に腸骨があり,恥骨・坐骨から前側の恥骨結合までを骨盤輪を形成しています。
そして前側には寛骨がありその中に大腿骨が納まって股関節を構成しています。
骨盤を構成するものに,寛骨があり,寛骨の一部分に大腿骨を収納する寛骨臼があって,股関節を構成していると言うことになります。
3
股関節の中心脱臼は,大腿骨骨頭部や寛骨臼と,どう関係するのですか。
大腿骨頭が押し上げられて寛骨臼底が骨折し,大腿骨頭が寛骨臼底を破って骨盤内に突出する状況になります。
この寛骨臼底の骨折を伴った骨盤内への脱臼を股関節の中心性脱臼と言うのです。
4 後遺障害は残らないのでしょうか。
治療可能であり,大腿骨頭部の損傷を伴わなければ後遺障害となる残存症状は考えにくいとされています。
ただし,大腿骨骨頭部が骨折して大腿骨人工骨頭置換術が必要となると,後遺障害に該当する可能性があります。
その場合には,大腿骨人工骨頭置換術後の可動域が2分の1以下に制限されるかどうかにより変わってきます。
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大腿骨人工骨頭置換術
(リンク)
股関節の可動域制限
(リンク)