Q.味覚は,どのように脳に伝わるのですか。味覚障害の検査方法と関係はありますか。
味覚には塩味・甘味・苦味・酸味があり,舌から大脳までの伝達経路のいずれかの障害によって生じるのが,味覚障害です。
味覚には4つの基本的な要素,つまり塩味・甘味・苦味・酸味があり,それぞれの刺激によって反応しやすい味蕾(みらい)があるとされています。
舌にある味蕾が刺激されると,刺激は感覚神経を経て,脳幹→視床→大脳と伝達されて味覚として理解されます。
この味覚の伝達経路のどこかの部分が障害を受けると味覚障害となります。
味覚障害は,単なる年齢や気のせいではなく,神経障害という原因に基づくものです。
したがって,後遺障害となる味覚障害は,頭部外傷その他顎周囲組織の損傷および舌の損傷によって生じたものでなければならないとされています。
障害の原因と前後しますが,味覚をどのようにヒトの脳が感じるのかは,障害の存在と程度の検査方法に関連します。
直接に味覚を感じさせる濾紙を用いたものがありますが,電気味覚計はヒトの味覚の神経伝達経路を利用したものです。
味覚は味覚神経の分布する味蕾の存在する乳頭で感受されます。
味蕾に味物質が結合することにより分極から脱分極,すなわち電位差がなくなり,一時的な活動電位,つまりインパルスが生じます。
その求心性インパルスが神経線維を通じて脳へ入力されることで味覚を感じるのです。
そして味覚的には,舌の前部分2/3は舌神経に支配をされています。
舌神経は,鼓索神経,顔面神経が分岐したものです。
舌のそれ以外の1/3は舌咽神経により支配されています。
その舌神経・舌咽神経は迷走神経(第10脳神経)によりそれぞれ支配されています。
味を感じて,味蕾で生じた求心性インパルスは,舌からは鼓索神経または舌咽神経を通って,また軟口蓋は大錐体神経を,咽頭,喉頭からのものは迷走神経を経て脳幹に入っていきます。
そこで,味覚神経領域を測定することにより,味覚異常が客観的に判断することが可能となるのです。
ちなみに味覚神経領域に対応する測定部位は,鼓索神経領域,舌咽神経領域,大錐体神経領域です。
それを利用したのが電気味覚計です。
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味覚障害の検査方法と後遺障害(リンク)