Q.Rey複雑図形検査の高次脳機能障害検査における活用はどのようになっていますか。

[Rey,前頭葉,半側空間無視,構成障害,注意機能,注意障害,複雑図形検査,ROCFT]

A.

Rey複雑図形検査は,ROCFTともいいます。
すなわち,ROCFTとは,英語名のRey-Osterrieth Complex Figure Test の略語です。

Rey複雑図形検査は,視覚性の随時記憶の課題として知られています。
随時記憶とは,記銘するように指示されないで,自然に記銘される記憶を言います。

種々の機能を10分程度でチェックできるので,臨床的に有用とされています。
但し,やや難易度が高いので,全体の機能を考慮して実施を決めるとされています。

①遂行機能
どのような順番で描くかというプランニング機能,それを実現する機能をみることができる。
計画性なくばらばらに描いている場合,前頭葉機能障害が疑われることがある。

②構成障害
複雑な図形の視空間的特徴を捉え再現する機能。
構成障害があると,模写は拙劣で位置関係が不正確になる。

③記憶<障害/strong>
視覚性の早期,再認の機能,再認時の擬陽性等の特徴を知ることができる。
模写が拙劣な場合,早期の評価は困難であるが,再認により各部分をどのように記憶しているか検討することができる。

④全般性注意機能
随時記憶を見ているため,全般性注意低下があると成績は低下しやすい。

上記以外に模写の様子をじっくり観察することにより視覚性注意障害や半側空間無視などにも気づくことがある。

方法としては,以下のとおりです。
Rey-Osterrieth figureを見せ,これを模写させる(Copy)。
さらに30分後に今度は原図を見せずに紙面上に再生させる(Delay)。

実施方法としては,次のことに気をつける。
(1)模写の際には,後で想起させることを告げずに,「なるべく正確に写して下さい」と指示する。
(2)模写は色鉛筆の色を順番に変えながら行うことによって,描いた順番を記録として残すことができる。
(3)模写の後,3分または5分間の干渉課題を行ってから想起を行い,その後,再認を行う。
(4)再認では,正答数だけではなく,偽陽性数も記録する。
評価としては,英語版で6~89歳までの年齢階層別の点数分布が示されているため参考にできるが,点数だけではなく模写,想起時の様子を詳細に観察して,質的変化を捉えることが重要である。

(以上「症例で学ぶ高次脳機能障害」鈴木匡子編著,中外医学社p95 より)

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