Q.骨折による脂肪塞栓症候群とは何ですか。
A.
骨折により多くは塞栓(ソクセン)をおこしますが,臨床的症状とまでになることは希です。
しかし,症状が出た場合を脂肪塞栓症候群といいます。
肺塞栓あるいは脳塞栓を発症すれば生命危機あるいは重篤な後遺障害となるおそれがあります。
血管またはリンパ管といった脈管内で発生した,あるいは外部から脈管内に流入した種々の遊離片によって,その内腔が閉塞されて循環障害を起こしていることを言います。
骨折時に骨髄損傷を起こして,その中の脂肪球が静脈中にはいって,心臓の右心からさらに肺に達した後,肺の小動脈や毛細血管をふさいでしまうことを肺塞栓と言います。
そのため,ショック状態になり,循環・呼吸障害などを生じます。
脂肪球が肺を通過し,左心から脳血管に入って塞栓をおこして,重篤な症状となることがあります。
これを脳塞栓といいます。
重度な後遺障害を残したり,死亡に至ることがあり得ます。