Q.(頭蓋骨)円蓋部骨折とは何ですか。後遺障害(後遺症)となりますか。
1 頭蓋骨円蓋部
頭蓋骨円蓋部は,前頭骨・側頭骨・頭頂骨,後頭骨などから成り立っています。
骨の厚みは,後頭骨は厚く,側頭骨は薄くなっています。
そのため,側頭骨は外傷性で線状骨折を起こしやすく,
その際に,動脈損傷による硬膜外血腫を起こしやすいとされています。
2 頭蓋骨円蓋部線状骨折(新生児・乳児は注意)
線状骨折としては,円蓋部に最も発生しやすいとされています。
特に治療の必要がなく,保存的に骨癒合が起こり,重症ともなることはありません。
ただし,新生児・乳児は骨形成が十分でないことから,線状骨折でも脳挫傷を生じて,
さらに骨折線拡大を生じる進行性骨折を起こすことがありますので,注意が必要です。
3 頭蓋骨円蓋部陥没骨折
頭蓋骨が陥没骨折するのは,円蓋部のみに見られるとされています。
これは小児と成人で骨折の状況が異なります。
小児は,骨形成が十分でない代わりにまだ柔軟性があります。
そこで,骨折はピンポン球をつぶしたような文字通りの陥没骨折となります。
しかし,成人は骨が固くなっており,その弾性が低く陥没骨折から,
小骨片に分解した粉砕骨折となりやすいとされています。
さらに悪いことに開放骨折になりやすく,その骨片が脳に達して脳挫傷を発生させる複雑骨折となりやすいとされます。
【後遺障害(後遺症)】
脳が局所的に圧迫されるために失語,失行,失認,運動麻痺,さらには脳波異常を伴うてんかん発作となる可能性があります。
脳障害についても部位によるために様々な後遺障害(後遺症)があり得ます。
また,高次脳機能障害を併発することもあり得ます。
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頭蓋骨骨折(リンク)
進行性頭蓋骨骨折(リンク)