Q.外傷性脳内血腫とは何ですか。血腫の大きさは,その後の死亡・後遺障害(後遺症)とは関係しますか。
A.
外傷性脳内血腫とは,外傷により脳実質内に発生した出血であり,直径3㎝以上の塊状になって,頭蓋内占拠性病変となって存在するものをいいます。
発生機序から3種類に分類されています。
Ⅰ型脳内血腫(一次性脳内血腫):
受傷直後に脳内血管が破裂して血腫を形成する(外傷性脳内血腫の20%を占めている。)
Ⅱ型脳内血腫(二次性脳内血腫):
受傷直後に脳内血管が破裂していなくとも,透過性が著しく亢進し,その後に脳挫傷部に一致して出血し血腫となるもの(外傷性脳内血腫の約40%を占めている。)
Ⅲ型脳内血腫(三次性脳内血腫):
受傷時に脳挫傷がCT画像で確認されていなかったにもかかわらず,脳内小血管の血管壁が壊死して血腫を形成する(遅発性脳内血腫)
(外傷性脳内血腫の30%を占めている。)
治療としては,意識障害もなく,神経症状も認めない軽症では保存的療法で足りるとされています。
しかし,血腫のため頭蓋内圧亢進症状や局所症状を認める場合は,緊急開頭手術を実施して血腫を除去する必要があります。
予後についてはⅡ型脳内血腫(二次性脳内血腫)の死亡率が高く,Ⅲ型脳内血腫(三次性脳内血腫)の死亡率は低いとされています。
しかし,脳内血腫は,脳挫傷の好発部位である前頭葉・側頭葉・前頂葉の白質内に発生するものが多いので,その部分を摘出する結果として高次脳機能機能障害等の残存症状があることが多いとされています。