Q.大腿骨人工骨頭置換術をした場合の後遺障害(後遺症)は何級ですか。

[人工骨頭,大腿骨骨折,股関節]

A.

人工骨頭置換術術だけで後遺障害に該当します。しかし,8級であるか,10級であるかは,股関節の可動域制限程度により異なってきます。

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1 主要運動の可動域制限とはどういうことですか。また健側とは何ですか。 (クリックすると回答)


股関節の主要運動は,屈曲・伸展/外転・内転の2つです。
そのいずれか(屈曲+伸展あるいは外転+内転)の合計値に可動域制限があるかで判断されます。

健側とは,今回の事故で受傷しなかった側で,それに対して受傷した側を患側と言います。
既に別の原因で健側に可動域制限がある場合には参考可動域角度によります。

2 後遺障害が認められると,どのような賠償金額になりますか。  (クリックすると回答)


(1)後遺障害8級では
労働能力喪失率45% 
後遺障害慰謝料 訴訟基準830万円 自賠責基準324万円

(2)後遺障害10級では
労働能力喪失率27%
後遺障害慰謝料 訴訟基準550万円 自賠責基準187万円

8級と10級では,大きな違いがあります。
その上で訴訟基準と自賠責基準も大きな違いがあります。

3 後遺障害8級となる可動域制限とは具体的にはどのようなものですか。  (クリックすると回答)


人工骨頭置換術をして可動域が健側に比べて2分の1以下に制限されていることが必要です。

実例 患側:屈曲=60度,伸展=5度 健側:屈曲=125度,伸展=15度
この場合に同一平面の運動である屈曲と伸展の合計値で判断されます。
同様に外転と内転もその合計値です。

実例では, 屈曲+伸展は,患側=65度 健側=140度 すると,65度<140度÷2=70度 

したがって,2分の1以下に制限されていることになります。

なお,別の原因で健側が既に可動域制限がある場合には参考可動域角度で判断されます。
股関節については,屈曲=125度,伸展=15度,外転=45度,内転=20度です。

4 後遺障害10級となる可動域制限とは具体的にはどのようなものですか。  (クリックすると回答)


人工骨頭置換術をしているが可動域が健側に比べて2分の1を超えている場合(可動域制限がない場合も含む)です。

実例 患側:屈曲=70度,伸展=10度 健側:屈曲=125度,伸展=15度
屈曲+伸展は,患側80=度 健側=140度 すると,80度>140度÷2=70度

したがって,2分の1以下に制限されていないことになります。

なお,最近の技術の進歩から,可動域制限が健側に比べて2分の1以下になること,つまり8級となることは,ほぼあり得ないで,ほとんどが10級と考えるべきです。

5 大腿骨の人工骨頭置換術とは,どのようなものですか。  (クリックすると回答)


(1)大腿骨の人工骨頭置換術
大腿骨頸部内側骨折,偽関節,大腿骨骨頭壊死の場合に多く用いられます。
破壊された骨頭に変えて,金属などの人工素材による骨頭に置換する手術です。

(2)外傷性大腿骨頭壊死症とは
外傷性大腿骨頭壊死症とは,大腿骨頭壊死の中でも最も多いとされています。

大腿骨頚部骨 折(リンク)後に生じるもので,骨折の際の血流が途絶えたことが原因となります。
その他にも,外傷性股関節脱臼後にも生じることがあります。

人工骨頭置換術.gif

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次の記事も参照にして下さい。

股関節の可動域制限(機能障害)についての後遺障害(後遺症)はどうなりますか。---交通事故賠償は,むさしの森法律事務所(リンク)

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