Q.味覚障害とは何ですか。検査方法は,どうなっていますか。後遺障害(後遺症)はどうなりますか。
味覚には4つの基本的な要素,つまり塩味・甘味・苦味・酸味があり,舌から大脳までの伝達経路のいずれかの損傷によって生じるのが,味覚障害です。
検査方法としては,濾紙ディスク法が一般ですが,電気味覚計による場合もあります。
味覚脱失の場合には12級相当,味覚減退の場合には14級相当となります。
味覚には4つの基本的な要素,つまり塩味・甘味・苦味・酸味があり,舌にある味蕾が刺激されると,刺激は感覚神経を経て,脳幹→視床→大脳と伝達されて味覚として理解されます。
この味覚の伝達経路のどこかの部分が障害を受けると味覚障害となります。
(1)濾紙ディスク法
濾紙ディスク法における最高濃度液による検査によるとなっております。
基本4味覚すべてが認知できないものが味覚脱失,1味覚以上が認知できないものが味覚減退です。
濾紙ディスク法とは,4種類の味を持つ物質を濾紙にしみこませて舌面上に当てて行う検査方法です。
検査液としては様々な濃度,例えば0.3%,2.5%,10%,20%,80%,つまり薄い味から濃い味へ4種類の味の液(しょ糖=甘,食塩=塩,酒石酸=酸,塩酸キニーネ=苦)を用います。
検査を行う領域は舌とされています。
障害認定の時期は,味覚障害については,その症状が時日の経過によって徐々に回復することが多いために療養を開始してから6ヶ月を経過した後に認定することとしています。
(2)電気味覚計
味覚神経領域を測定することにより,味覚異常が客観的に判断することが可能となるのです。
ちなみに味覚神経領域に対応する測定部位は,鼓索神経領域,舌咽神経領域,大錐体神経領域です。
定められた測定部位に刺激導子をあて直流通電して,味覚を感じる閾値(最小の値)を測定します。
測定結果はdB(デシベル)スケールで定量的に表現されます。
電気味覚は大半が金属味を感じるものですが,そのほか塩味,酸味,苦味などを感じることもある言われています。
甘味として感じることは非常に少ないそうです。
味覚脱失の場合には12級相当,味覚減退の場合には14級相当となります。
4 味覚は,どのようにして脳で感じることができるのですか。 (クリックすると回答)
味覚は味覚神経の分布する舌の味蕾の存在する乳頭で感受されます。
味蕾に味物質が結合することにより分極から脱分極,すなわち電位差がなくなり,一時的な活動電位,つまりインパルスが生じます。
その求心性インパルスが神経線維を通じて脳へ入力されることで味覚を感じるのです。
そして味覚的には,有郭乳頭より前方で舌の前の2/3は舌神経(鼓索神経,前記のとおり顔面神経が分岐したものです。)により,有郭・葉状乳頭を含めその後の1/3は舌咽神経により,有郭乳頭正中部は迷走神経(第10脳神経)によりそれぞれ支配されています。
求心性インパルスは,舌からは鼓索神経または舌咽神経を通って,また軟口蓋は大錐体神経を,咽頭,喉頭からのものは迷走神経を経て脳幹に入っていきます。
この原理を利用しているのが,電気味覚計です。