Q.事故がなければあったはずの昇給やベースアップを逸失利益として請求できますか。

[ベースアップ,昇給,職能昇格制度,職能給,逸失利益]

A.

昇給及びベースアップについて理論上では逸失利益の基礎収入に含めさせることはできます。

しかし,昇給については,最近では賃金制度が職能資格制度と結びついており,どこまで昇格できたかの蓋然性の証明が求められます。

また,ベースアップについては,経済情勢とも関連して確実な証明が要求されます。

1 昇給については,どうなっていますか。   (クリックすると回答)


昇給については,最高裁昭和43年8月27日判決は,
「将来昇給等による所得の増加を得たであろうことが推定できる場合には,右昇給等の回数,金額等を予測し得る範囲で」平均的な昇給率で予測された昇給を斟酌して将来の所得を定めるとしました。

これにより,昇給についても,逸失利益に含められる可能性が出てきました。

しかし,就業規則上定期昇給は制度としてあるものの,それが各人の勤務態度によるなどして確実と言えない場合には否定されると言えます(東京地裁 昭和55年7月15日判決)。

さらに,職能資格制度を導入する企業が増加してきていて,その場合には,
「基本給は職級毎に定められている」ため将来の職能としてどこまで昇格したかの蓋然性の証明が必要となります(東京地裁 平成8年7月31日判決)。

2  ベースアップについては,どうでしょうか。  (クリックすると回答)


理論的には,ベースアップを基礎収入に反映させることは可能であると考えます。
問題は,確実にベースアップが行われるという立証ができるかどうかであろうと思われます。

ベースアップ累積分を退職金差額に反映する手法も被害者の年収・企業規模・実績からは,可能であると思われます(札幌地裁 平成18年8月11日判決)。

むち打ちや脱臼、脊髄損傷など、幅広い疑問にもお応えします。ご相談は埼玉の弁護士、むさしの森法律事務所にご連絡ください。

0120-56-0075 受付時間:月~金(土日祝日も対応)午前9時30分~午後10時

フォームからのご相談予約はこちら

ページの先頭へ戻る