Q.前骨間神経麻痺・後骨間神経麻痺とは何ですか。後遺障害(後遺症)となりますか。
A.
前骨間神経と後骨間神経は,いずれも前腕の橈骨と尺骨の間を繋ぐ骨間膜の前後を走る神経です。
前骨間神経は肘の辺りで正中神経から分岐して主に母指(親指)と示指の第1関節を動かす筋肉を支配します。
前骨間神経麻痺では母指と示指の第1関節の屈曲ができなくなり母指と示指で丸を作らせると母指の第1関節過伸展(そり返り),示指の第1関節過伸展となり,涙のしずくに似た形となり,「涙のしずくサイン」陽性になります。
後骨間神経は肘の辺りで橈骨神経から分岐して回外筋にもぐりこみ,指を伸展する(伸ばす)いくつかの筋肉を支配します。
後骨間神経麻痺では,下垂指(drop
finger)になります。下垂指は,手首の背屈は可能ですが,手指の付け根の関節の伸展ができなくなり,指のみが下がった状態になります。
両者とも皮膚を触った感覚には異常がないのが特徴です。
両者とも,治療による改善が見込まれて,後遺障害(後遺症)は,通常は考えられないようです。