Q.大学浪人生の逸失利益算定の基礎収入は,大学卒業者として認められますか。
A.
4年制の大学に進学可能な学力を有していたこと(=高校あるいは予備校の成績が優秀)及び
家庭として大学に進学させるのに十分な資力を有していたことを要件(京都地裁 平成14年9月5日判決)とするものもありますが,
「今日少子化の影響で,特定難関校にこだわらない限り,本人の意欲があれば大学進学が容易であることは公知の事実」(横浜地裁 平成12年9月6日判決)
として,男女別大学・大学院卒平均賃金で認める傾向にあります。
また,就職遅れから,本来の就職したであろう時期を労働能力喪失期間の起算点としています。
問題となりそうなのは,事故後に3級後遺障害(喪失率100%)でありながら大学入学ができた場合には,残存能力の存在に疑問を持たれる可能性があります。
この点は,大学入学=労働能力が残存すると言うことではないとして,労働能力喪失率100%のとおりとすべきです(横浜地裁
平成9年11月21日判決)。