Q.高次脳機能障害であるワーキングメモリー障害の検査方法には,どのようなものがありますか。
つぎのような検査方法があります。
1 リーディングスパンテスト
2 PASAT(Paced Auditory Serial Addition
Test)定速聴覚的連続加算テスト
3
WAIS-Ⅲ(ウェクスラー式成人知能検査)の一部
4 spatial working memory task(空間的ワーキングメモリ課題)
1 リーディングスパンテスト
例えば
(ア)農民たちは稲も麦も豊かに実ってくれるものと期待した
(イ)その男は会議で弁舌をふるって警告を発した
(ウ)彼はかぜをひいて宿屋で寝ていたが,知らせを聞いてはね起きた
という文を音読しながら,下線部の単語をおぼえていく課題です。
「神経心理学評価ハンドブック」(西村書店)p118
すなわち,文章の音読と単語の保持を同時に遂行する課題です。
2 PASAT(Paced Auditory Serial
Addition Test)定速聴覚的連続加算テスト
例えば,1-6-3-6-4-9-8-9-2-5-5-6・・・
連続的に聴覚提示される一桁の数字について,前後の数字を順次暗算で足していく検査です。数字の保持と数字の処理を同時に行わなければ正解できません。
具体的なPASATについては,後記の☆を参照してください。
3
WAIS-Ⅲ(ウェクスラー式成人知能検査)の一部
①数字の順唱と逆唱を含めた数唱課題
数字の順唱は,ワーキングメモリというよりも短期記憶の課題ですが,逆唱となると保持しながら処理をするためにワーキングメモリの課題となります。
②算数
③語音整列問題
聴覚提示された数字を小さい順,仮名をあいうえお順に並べる,さらに,数字と仮名の混同された聴覚提示を適切な順に並べる課題
(「高次脳機能障害の考え方と画像診断」中外医学社p76)
4 spatial working memory task(空間的ワーキングメモリ課題)
眼前から消えている刺激情報を保持して反応できるかどうかの課題
☆ベッドサイドで行えるワーキングメモリ課題
例えば,1-6-3-6-4-9-8-9-2-5-5-6・・・
1. PASAT(Paced
Auditory Serial Addition Test)簡略版
今聞いた数と一つ前に効いた数との和を答えてもらう
2.
N-back課題
たとえば2back
課題では,今聞いた数が2つ前に(1つ間をおいて) 聞いた数と同じ数なら手を挙げてもらう
3. N back課題
1つ前に聞いた数を答えてもらう
4.
memopry updating(last 3digit)
数系列を聞き終わったら,最後の3桁を答えてもらう。
「神経心理学評価ハンドブック」(西村書店)p115