Q.加害者から見舞金あるいは香典として受け取ったお金は,全体の賠償金からの控除の対象となりますか。
A.
原則は,見舞金あるいは香典として受け取ったお金は,加害者と被害者という関係を考慮しても明らかに高額である場合を除き,損害からは控除されない,つまり賠償金として扱われないとしています。
しかし,「明らかに高額」というのは,どの程度までを言うのか,その基準というのは,なかなか難しい問題です。
判決例でもその点を明らかにしたものはありません。
見舞金としての400万円というのは相当でないとして全額を損害賠償に充当した判決(神戸地裁平成5年3月10日判決)がありますが,これだけでの高額であれば社会通念上当然と言うべきで基準とは言えません。
香典については,死亡と言うことで加害者としても被害者遺族の心情あるいは刑事裁判を考慮してか相当金額を支払うことが多い傾向にあると考えられます。
20万円,30万円という金額については,香典としても相当性の範囲とする判決例が多くあります。
100万円というと,流石に高額という印象は一般にありますが,それでも相当とする判決例もあります(東京地裁平成7年7月26日判決)。