Q.財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構とは何ですか。後遺障害異議申立とはどのように違うのですか。
1 財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構とは
簡略して紛争処理機構と言います。
平成14年(2002年)4月1日施行の自賠法23条の5の規定に基づいて設立された国土交通大臣及び内閣総理大臣による指定紛争処理期間です。
自賠責保険の保険金等の支払に関する紛争を中立・公正な判断により解決することを目的とした民間による裁判外紛争処理機関(いわゆるADR)です。
2 後遺障害認定での役割
自賠責保険会社による後遺障害の有無および等級認定に対して不服がある場合には,一般には,異議申立を自賠責保険会社に対して行います。
さらに,紛争処理機構でも後遺障害の有無および等級認定に対して3名以上の委員による合議制で審議されて,その結果を「調停(紛争処理)結果」として書面で通知してくれます。
後遺障害認定に係わるということで,いわゆる交通事故紛争処理センターとは,異なります。
3 自賠責の異議申立との違い
自賠責の異議申立は,回数制限はありません。
そのために,何回でも行うことができます。
しかし,同じ主張と立証では判断の変更を期待することはできません。
新たな主張と立証が有効であれば別ですが。
だが,その点で紛争処理機構は,中立公正を旨としますから,同じ主張と立証であっても,評価が異なる可能性があり,自賠責の判断を変更することが期待できます。
4 紛争処理機構への調停申立について
紛争処理機構による判断の変更は期待でき,その判断は事実上保険会社を拘束します。
しかし,紛争処理機構による調停結果に対する不服申立はできず,最初で最後の機会となります。
残すのは,訴訟のみと言うことです。
そこで,まずは自賠責に対する異議申立を行い,それでも納得のいかない場合に調停申立をするのが一般的と考えます。