Q.脳血管攣縮(レンシュク)の発症原因は何ですか。
1 血管攣縮
一過性に血管が異常収縮をおこし灌流組織の虚血を生じること。
血圧維持に必要な生理的収縮をつかさどるCa2+依存性血管平滑筋の収縮と,
Rhoキナーゼを介するCa2+非依存性収縮があり,
後者による血管緊張の異常が,臨床的には冠動脈攣縮による狭心症,くも膜下出血にともなう脳血管攣縮,血管攣縮性網膜症などを生じさせると考えられている(日本救急医学会HP)。
2
脳血管攣縮
クモ膜下出血発症後,脳の血管が縮んで血液の流れが悪くなる状態です。
脳血管攣縮という現象自身は1950年代から知られていますが,今日に至るまで決定的な病態解明と根治的予防,治療手段は得られておらず,現在なおクモ膜下出血の重大な予後不良因子となっています。
脳血管攣縮はくも膜下出血を起こした後,約4日目から
2~3週間の間に生じることが多いと言われています。血管攣縮が起こる可能性は,個々の状態によって様々ですが,クモ膜下出血の出血量と相関すると言われています。
つまり出血量が多いと強い血管攣縮が起こる可能性があると考えられます。
一般的に脳血管攣縮の発生頻度は脳血管撮影上は約70%,虚血症状を呈するのは約30%と言われています。
(近畿大学医学部脳神経外科HP)
3
外傷性脳血管攣縮
鈍的頭部外傷後の脳血管障害の発生率は5~41%と報告により差がある。
これは,外傷の程度,診断方法また脳血管造影の時期によって頻度の差が生じるためである。
破裂脳動脈瘤によるクモ膜下出血の場合と同様に,一般に外傷によるクモ膜下出血の程度が強いほど血管障害が生じやすい,また側頭葉の脳挫傷に合併しやすいという。
クモ膜下出血を伴わない血管攣縮も報告されている。
外傷そのものによる機械的刺激が原因と考えられている。
外傷後の脳血管攣縮を検出した報告では,クモ膜下出血を伴なうものでは受傷後2~22日にみられるのに対して,クモ膜下出血を伴わないものでは受傷後2~31日と早期にみられるのが特徴である。
頭蓋内圧亢進を伴っている場合が多く,こうした症例では,通常の血液量過多,高血圧,血液希釈と言った治療は行えない。
(大田富雄層編集「脳神経外科学Ⅱ」金芳堂 p1173より抜粋)