Q.スマホ中の自転車と歩行者の事故の過失割合は,どうなりますか。
スマホ操作中は当然片手運転となります。その場合には,ハンドル・ブレーキ操作が困難あるいは,不可能となることから,歩行者に対する自転車の過失は大きなものとなります。
さらに,夜間・無灯火ということになれば歩行者としては防ぎようがなく,歩行者には過失がないという結論になります。
1 自転車運転安全のためのルール
ルールとしては,スマホ中は片手運転となるので,道路交通法上では,安全運転義務違反となります。その結果,警察からの摘発の対象となります。
2 損害賠償においての過失の評価
スマホ操作中により片手運転となれば,前方への注意力も落ちて咄嗟にハンドルやブレーキを操作することができにくいか,できない,と考えられます。
自分は,運転が上手だから大丈夫だと思っていても,通用しません。いけないものはいけないのです。
3 自転車対歩行者
自動車があまり通らない道路での事故において一般論として歩行者の動きによっては歩行者の過失も多少あるとは考えられます。急に自転車に向かって飛び出す結果となってしまったような場合などです。
しかし,スマホ操作中であれば歩行者の発見も遅れ,発見したとしても急ブレーキを咄嗟にかけたりハンドルで回避することもできなくなります。その結果として,歩行者が仮に道路の端ではなくて中央付近にいたとしても自転車を避けることはできないので,歩行者に全く過失がないといえそうです。
4 スマホ操作中の過失
つまり,スマホ操作中だから,前方への注意力が落ちて発見が遅れ,事故を回避する措置が執れなくなるというロジックで過失を認定していきます。
道路幅が3.2メートルという細い道で,勾配が100分の10という急坂の事故で時速約20キロで夜間無灯火の自転車が,携帯電話操作中に歩行者に衝突した事故では100%自転車に過失があると判断された判決例があります(横浜地裁平成22年4月14日判決)。
しかも,判決では,被害者に夜間無灯火で坂道を下ってくる自転車を歩行者が予測できるわけがないと,加害者からの過失相殺の主張を,こてんこてんにやっつけています。
加害者は,自転車が近づいてくるのだから,歩行者は道の端によければよかったのだという主張をしたのですね。
判決は,携帯電話についての明言をしているものではないのですが,片手運転になってしまうことによる危険性を指摘しています。
ポケモンGOを自転車運転中にやるのは、やめましょう。
また、歩いてやっていても、自動車だけではなく、自転車にも気をつけてください。