Q.直達牽引法には,どのような特徴がありますか。
A.
直達牽引法には,次のような特徴があります。
1 転位の強い骨折に対しても整復力が有効に働きます。
2 骨折部の隣接する関節を固定しないために後遺症としての関節可動域制限,関節拘縮が起こりにくいとされています。
3 局所観察が常時可能であり,骨折部の転移の状態を知ることができます。
4 筋機能を停止しないために筋の萎縮が少なく,リンパおよび血液の循環はよい状態を保つことができるので,循環の障害による合併症が起こりにくいといえます。
ただし,よい点ばかりではなく,
牽引力が強いためにかえって骨癒合が遅延したり神経麻痺を生じさせてしまうこともあります。
また,長期にわたり寝たきりとなることから,高齢者には適用ができにくいといえます。
さらに,そもそも入院を前提とするため通院には適しません。