Q.頭部打撲による頭蓋骨骨折が,死亡や重傷という事態になりやすいのはなぜですか。

[脳ヘルニア,脳挫傷,頭蓋内圧亢進,頭蓋骨骨折]

A.

頭蓋骨骨折とは,言うまでもなく脳を保護する頭蓋骨が壊れたということです。
頭蓋骨が壊れることで脳が損傷こともありますが,必ずしもそうではありません。
逆に,頭蓋骨が壊れなくても,脳が損傷することもあります。


1 頭蓋骨骨折ということ
骨折には,ひびが入るだけ(線状骨折)もあれば,粉砕されたりして脳が露出してしまうこともあります。さらには,骨片が脳に刺さってしまうことがあります。

頭蓋骨は非常に硬く脳を保護するようにできています。
他方で,脳は豆腐にたとえられるように柔らかく,特に圧力に弱いのです。
よくたとえられるのは,パックに入っている豆腐が脳です。そして入れ物が頭蓋骨です。(もちろん頭蓋骨はパックよりも丈夫ですが)

頭蓋骨骨折は,二つの面から見ることができます。
頭部に加えられた力が骨折で吸収されて脳は,守られるという面があります。頭蓋骨にひびが入ったけれども脳は,ほとんど無傷ということがあります。
他方では,頭蓋骨骨折をする位の強い力が働いたという面もあります。特に粉砕骨折して骨片が脳に刺さってしまったような場合にはそうです。

2 頭を打つということが死亡や重傷となるわけ
鍵は,頭蓋内圧ということです。
頭蓋とは,脳が髄液に浮かんでいる豆腐のようなもので,無数の血管が張り巡らされている閉じられた場所(閉鎖空間)といえます。

頭蓋骨骨折をするかどうかは別として,頭を強く打ってしまって,頭蓋内で出血が起こってしまう(脳挫傷)と閉じられた場所だけに中の圧力が上昇します。
これが頭蓋内圧亢進です。

つまり,脳が圧迫された状態です。しかも,出血をすると脳がむくんできます(脳浮腫)。
そうなると,脳が圧迫されてどんどん下に押し込まれるようになっていってしまいます。
本来の場所から脱出してしまう(脳ヘルニア)となれば,最悪の事態を意味しています。

このように,頭蓋骨骨折というよりも頭蓋内で出血して脳が圧迫されること,これが一番脳損傷としてのリスクになります。

3 頭蓋骨骨折と頭蓋内圧亢進
頭蓋骨骨折で明らかに割れてしまっている場合では,脳出血が明らかです。
特に,骨片が刺さっていれば柔らかい脳の出血は相当な量になります。
脳が表面側からの出血で圧迫されているのが硬膜下出血です。

頭蓋骨骨折は,直接に破片が出血の原因になるだけではなく,脳が衝撃で頭蓋骨に頭蓋内で当たって傷ついて出血することもありますが,その場合には頭蓋骨骨折そのものはひびが入った程度であったり,それさえもないことがあります。

要は,脳出血で頭蓋内圧亢進が生じるかどうかが重要となります。

さらに,頭蓋底骨折では一見すると,大きな損傷がなかったように見えます。
ところが,頭蓋底には血管や神経が張り巡らされていて,衝撃で血管が切れて出血が起こっていることが多くあります。

また,高齢者では動脈は傷つかなくても,脳表面の静脈から出血することがあります。
血管自体がもろくなっているからです。
その場合にも頭蓋骨骨折が程度として軽かったり,あるいは骨折していないこともあります

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