Q.幼児を引率していた保母は,被害者側の過失となる「被害者側」に当たりますか。
A.
本人以外でも,事理弁識能力がない幼児・児童・生徒の場合には,監督に当たる・当たるべき人の過失に対して過失相殺がされます。
そのような意味で「被害者側」といいます。
被害者側とは,親族関係等を含めて緊密な生活関係にある人に限定されます。
問題となったのは,4歳の女児を引率していた保母が被害者側に当たるかどうかということでした。最高裁は,保母は被害者側に該当しないとして,被害者側については,一般論として次のように述べています。
「被害者側の過失とは,例えば被害者に対する監督者である父母ないしはその被用者である家事使用人などのように,被害者と身分上ないしは生活関係上一体をなすとみられるような関係にある者の過失をいうものと解するを相当とし,所論のように両親より幼児の監護を委託された者の被用者のような被害者と一体をなすとみられない者の過失はこれに含まれないものと解すべきである。」 (最高裁 昭和42年6月27日判決)
緊密というのは,「被害者と身分上ないしは生活関係上一体をなすとみられるような関係にある」という基準を示したものです。