Q.所得補償保険金を受け取った場合には,損益相殺されますか。
A.
事故に遭った際に,自分が加入している実質填補型の所得補償保険から休業給付を受け取ることがあります。
その場合には,休業損害については既に所得補償保険から給付を受けたとして,加害者に対して請求することはできません。
それは,所得補償保険金を支払った保険会社(保険者といいます。)が,法律上の権利として請求権代位(商法662条1項)として被害者が持っていた休業損害の賠償請求権を取得するからであるとされています。
所得補償保険金を支払った保険者は,商法662条1項の規定により,その支払った保険金の限度において被保険者が第三者に対して有する休業損害の賠償請求権を取得する保険者は保険者から支払を受けた保険金の限度で右損害賠償請求権を喪失するものと解するのが相当である。(最高裁 平成元年1月19日判決)