Q.事故前よりも,症状固定時には会社役員となって収入が増加した場合に,逸失利益は認められますか。
A.
会社員が,事故前に打診されていて,事故後に後遺障害はあるものの職務執行は可能であるとして役員に就任したような場合です。
いわゆるサラリーマン重役ですが,役員報酬を含めて収入としては増額となりますが,ほとんどが労務の対価と認められるような場合があります。。
この場合には,確かに事故の後遺障害による現実の減収は発生していないものの,むしろ労働時間が長くなったり,労働内容の密度が濃くなった部分を本人の努力で補完している状況があれば,逸失利益は認められます。
その場合の基礎収入について,本件事故当時,役員への就任を打診されていたことから,それに伴う収入の増加の可能性があり,勤務状況は,本件事故後に役員に就任した後は,本件事故前と比較して,本件後遺障害による業務の効率低下を補うため,勤務時間が増加していることを考慮して,事故後の本件事故前の収入を超える役員就任時の収入とする例があります(福岡地裁平成26年1月30日判決 平成28年度赤い本p110) 。