Q.ギャンブリングテストとは何ですか。前頭葉損傷との関係はありますか。
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ギャンブリングテスト(ギャンブル課題)
ギャンブリングテスト(ギャンブル課題)は,以下のように実施します。
4組のトランプのdeck:デッキ(「い」「ろ」「は」「に」)から1回に1枚ずつカードを引いてもらい,カードを引くごとに親(検者)からお金がもらえるが,
時々罰金(ペナルティ)を払わなければならないことがあります。
なお,デッキとはトランプを積んで並べた山ということです。
そして,「い」「ろ」はハイリターンだが,ハイリスクでもあり最終的には被検者が損をするBad deck(悪いデッキ),「は」「に」はローリターンだが罰金もローリスクであるために結局は得をするGood deck(良いデッキ)です。
日本版は,Bad deck(悪いデッキ)である「い」「ろ」の1回の報酬は10,000円,Good deck(良いデッキ)であり「は」「に」は,5,000円です。
4つのデッキすべて罰金があるが頻度・罰金の金額がそれぞれ異なっている。開始時所持金20万円でそれを増やすように指示され,もちろん良いデッキ,悪いデッキを含めて法則を知らされずに,100回カードをデッキから引いたところで終了とするものです。
そして,開始時の所持金20万円に対して,終了時所持金について健常例では,ある調査データによれば開始時を上回る33万7500円とされています。終了時に20万円を相当下回る場合には,前頭葉眼窩部(OFC:orbitofrontal
cortex)損傷が疑われます。
2 ギャンブリングテスト(ギャンブル課題)と前頭葉眼窩部(OFC:orbitofrontal
cortex)損傷
前頭葉眼窩部(OFC)損傷患者では「い」と「ろ」のBad deck(悪いデッキ)を引き続ける回数が多く,またその傾向は検査の後半になってむしろ高くなってくるとされます。
ヒトがOFCに損傷を受けると,刺激-報酬・罰の連合を形成したり,その連合がもはや不適切となった場合でも修正・抑制したりすることができない。殊に以前に報酬を得られた反応を抑制することが難しくなるのです。
したがって,ギャンブリングテスト(ギャンブル課題)の結果は,OFC損傷を反映したものとなることが多いとされています。
しかし,OFC損傷者が,必ずしもギャンブリングテスト(ギャンブル課題)で,それを反映するような結果を出すとは限らないと言われています。