Q.高次脳機能障害の論理的記憶障害とは何ですか。
A.
1 論理的記憶
例えばニュース記事のようなやや長い文章を2,3聞いた後に,直接及び遅延後にどれだけ思い出せるかというストーリー性に関する記憶をいいます。
したがって,高次脳機能障害としては,この論理的記憶についての障害をいいます。
判断を要する作業に関しては,この能力の減退あるいは喪失は労働能力低下として重要な要素となりえます。
2 神経心理学的検査との関係
ウエクスラー記憶検査(WMS-R)における論理的記憶は直後及び遅延の点数低下がみられます。
なお,ウエクスラー成人知能検査(WAIS-R)においては平均値範囲の場合も多いとされています。
3 その能力との関係
論理的記憶障害に関しては,記憶対象への近時記憶,ワーキングメモリー,遂行機能が関係しているとされています。
しかし,記憶対象への近時記憶とワーキングメモリーの点数が相関しなかったり,遂行機能障害は,論理的記憶障害だけでは説明がつかないなどの問題があります。
4 頭部外傷との関係
論理的記憶障害は,頭部外傷により前頭葉の脳挫傷を負った場合に多いとされています。