Q.高次脳機能障害の展望記憶の障害とは何ですか。
A.
1 展望記憶
予定を立てて,行動の中で実行するために必要な前方視的な記憶のことです。
例えば,人と会う約束が日時場所(さらには誰と会うか)を違えずに実行できるかということです。
この能力は,仕事や学校の予定をこなすという日常生活において必要不可欠なものです。
それが障害されれば,大きな支障が生じてきます。
2 検査
リバーミード行動記憶検査(RBMT)によります。
なお,ウエクスラー記憶検査(WMS-R)やウエクスラー成人知能検査(WAIS-R)の結果が平均あるいは平均以上であったとしても,RBMTにより展望記憶の障害が発見されることがあります。
3 他の機能との関係
展望記憶は,「記憶」のみならず,注意・遂行機能・ワーキングメモリーにも関係するものです。それぞれが障害がない状態であったとしても,展望記憶の障害が生じていることがあり得ます。
4 頭部外傷との関係
展望記憶の障害は,頭部外傷に関連して多く見られるとされています。
責任病巣としてブロードマン10野を主とする前部前頭前皮質が示唆されています。